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新聞掲載記事

更新:2008/02/24

意匠調査の概要-デザイン創作時の留意事項-

 新規製品の開発を行う際、その製品に用いるデザインの採択にあたっては意匠調査の実施が必要である。意匠法上、先行して登録された意匠と同一又は類似の意匠の実施は、当該意匠権利者の意匠権の侵害行為となるためである。第三者の意匠権の侵害行為となる意匠の実施には、意匠の実施の差止・損害賠償請求の対象となるおそれが生じる。
 年間3万~4万件の意匠登録出願がなされ、そのうち約3万件が意匠登録される。これらの登録意匠に関する情報は、特許庁電子図書館(IPDL)に収録されており無料で自由に閲覧できる。登録意匠についての特許庁データベースへは次のURL(http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl)から意匠検索のページに進みアクセス可能である。

 IPDLでは、意匠公報の番号・出願番号又は登録番号などから先行登録意匠の情報が検索でき、自社が開発した製品のデザインに同一又は類似する意匠が登録されているかについて有益な情報を得ることができる。簡単な検索方法は次の通りである。
 まず、上記URLのページにて「意匠公報テキスト検索」を選択し、「物品名(意匠に係る物品)」を入力する。そして、ヒットした意匠に係る物品の同一・類似並びに意匠の同一・類似を確認する。ヒットした件数が多い場合には、更に検索条件を絞り調べたい先行意匠を特定する必要がある。

 特定方法は、「意匠の説明」・「意匠に係る物品の説明」の文言において、調べたい意匠の物品名に共通するキーワードを入力するなど、検索項目選択のタブを選び必要事項を入力することによって行う。他には、特定の日以降に登録された意匠を検索する場合には出願日・登録日を入力し、特定の主体(権利者)が所有する意匠を検索する場合には出願人/権利者を入力する。また、日本意匠分類・Dタームを用いて先行意匠の調査を行うことも可能である。日本意匠分類・Dタームについては、次のページ(http://www.ipdl.inpit.go.jp/D_GUIDANCE/JDesignNew.ipdl?N0000=165)から、調べたい意匠に係る物品が該当する分類を確認することができる。

 意匠調査にあたっては、特許庁に登録された意匠だけでなく、未登録の先行意匠で公知となっている意匠についても確認する必要がある。自己の意匠と同一又は類似の意匠が公知となっている場合には、意匠登録を受けることはできず、また、不正競争防止法上、当該意匠の実施が制限されるおそれが生じるためである。
 意匠の同一・類似の判断においては、意匠及び意匠に係る物品の同一・類似を検討する。意匠法上、意匠の成立には意匠に係る物品が必須の構成要素となることから、意匠の同一・類似は、デザインの同一・類似のみならず、そのデザインが用いられる物品の同一・類似から判断される。検索データの抽出及び抽出したデータを確認する上では、漏れなく先行登録意匠の情報を確認する。

 先行意匠は、上記の方法で確認が可能であるが、意匠及び意匠に係る物品の類否の具体的な検討については、弁理士・有識者の見識に基づく専門的な判断が必要となる。
 意匠の類否判断は、当該意匠の周辺分野に存在する他の意匠・裁判例・特許庁の審決例などから総合的な判断を行う必要があるためである。
 意匠調査の実施にあたっては特許庁が開催する研修会、日本弁理士会及び日本弁理士会の各支部が行う特許相談を利用されたい。なお、海外において新規な意匠の実施を行うにあたっては、国及び地域ごとに現地の特許庁及び弁護士・弁理士を利用して意匠調査を実施する必要がある。



弁理士 前田 大輔