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新聞掲載記事

更新:2008/05/10

著作権(上)-著作権の概要-

 著作権というと皆様はどのようなイメージをお持ちでしょうか。文学や美術,音楽を思い浮かべる方もいれば,インターネットのコンテンツやコンピュータプログラムを思い浮かべる方もいると思います。
 あるいは,盗作騒ぎや海賊版問題を連想する方もいるでしょう。総じて,特許権や商標権などと類似の知的財産権の一種と捉えておられる方が多いと思われます。しかしながら著作権は,特許権などとは全く異なる一面をも合わせ持っています。そんな著作権について,今回と次回との2回シリーズで解説します。

文化の振興が目的
 著作権は著作権法という法律で規定されています。著作権法の目的は、文化の発展への寄与です。この点で、産業の発達を目的とする特許法とは目的を異にします。今日においては、コンピュータプログラム等に見られるように著作権の保護範囲も拡大されており、結果的に産業的なものが保護されることもありますが、本来の保護目的は文化面にあります。

表現を保護しアイデアを保護しない
 著作権は、思想または感情の創作的な表現を保護します。ということは、その背後のアイデアは保護しないということです。この点で、「発明」というアイデアそのものを保護対象とする特許権と大きく異なります。創作の保護という点では、同じく創作を保護する特許権、実用新案権、意匠権と共通します。一方、創作性と関係なく標識を保護する商標権とは相違します。
 著作権法では、著作物の種類として、言語の著作物、音楽の著作物、舞踊等の著作物、美術の著作物、建築の著作物、図形の著作物、映画の著作物、写真の著作物、プログラムの著作物、を挙げています。さらに編集著作物やデータベースの著作物もあります。ただし、これらのうち前述の創作性があるものだけが著作物に該当します。

無方式主義である
 著作権は、著作物の完成と同時に発生します。出願等の手続きや審査、登録のような行政庁の関与を要しません。この無方式主義は、著作権に関する国際条約でも各国に義務づけられており、著作権法の大きな特徴の一つです。そのため著作権は、その存在自体も、存在したとしてどこまで権利が及ぶのかも、明白ではありません。特許の「特許請求の範囲」のような、権利範囲を明確化するための制度上の仕組みもありません。

独自創作には権利が及ばない
 他人の独自創作に対しては、いかにそっくりでも著作権は及びません。独自創作は複製でも何でもないからです。独自創作された著作物にも独自の著作権が成立し、両権利が併存することになります。この点で、成立している特許や意匠登録の権利範囲内のものに対しては、たとえ独自発明、独自創作であっても権利が及ぶ特許権、意匠権等と著しく相違します。

保護期間が著しく長い
 著作権は、原則として著作者の死後50年後まで存続します。特許権が最長でも出願から25年で切れるのと比べて、著しく長い権利です。
創作者本人の権利である
 例えば、会社案内のウェブページを業者に委託して作成したとします。この場合、作成されたウェブページの著作権は、業者側に帰属します。委託した会社は、費用を負担したことや、内容が自社の紹介であること等により、著作権も自社のもののように思いやすいものです。
 しかし、後に業者を変更してページの内容を一部改変したりすると、旧業者から著作権侵害を問われるおそれがあります。このため、発注時に著作権の譲渡についても契約しておくことが好ましいのです。むろん、ウェブページに限らず紙の会社案内でもあるいは他の著作物でも、外注する場合には同じことです。
 ただし職務著作の規定があり、会社の仕事の一環として作成された著作物については、会社自体が著作者となり権利を持つことになります。この点で、発明者はあくまでも本人とした上で会社に権利を承継させる特許法の職務発明とは違います。また、映画の著作物については、その権利の帰属について別途規定されています。

※下記は、日本弁理士会キャラクター「はっぴょん」です。この種の絵柄も著作物です。


弁理士 岡戸 昭佳