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新聞掲載記事

更新:2008/06/11

著作権(下)-著作権とはどんな権利?-

権利の束
 一口に「著作権」といっても、その中には表のように種々の支分権が含まれています。いずれも、著作物の他人による勝手な利用により権利者が儲け損なうことに対する保護を目的とする権利です。表中括弧内の「著作財産権」は、後で述べる著作者人格権と区別する意味です。
 このうち主なものについて述べれば、複製権は、著作物の他人による複製を禁止できる権利です。複写等の機械的な複製に限らず、人の手による転記、模写等でもそっくりなら複製です。録音、録画等も該当します。単なる複製の他、翻訳、編曲、変形、脚色その他翻案も、翻案権等により禁止できます。小説や劇画の映画化なども翻案です。上演権、演奏権、上映権、口述権は、著作物の公の場での使用を禁止できる権利です。公衆送信権は、公衆への無線または有線による送信を禁止できる権利です。アップロード(送信可能化)も該当します。

著作者人格権
 著作権法では、著作権の他に著作者人格権も規定しています。これは、著作者本人の人格的利益を保護する権利です。つまり、著作物を他人に勝手にいじくられることにより著作者本人が頭にくることに対する保護を目的とする権利です。著作者人格権には、同一性保持権、氏名表示権、公表権、名誉・声望保持権が含まれます。著作者人格権は、著作者本人に帰属し、譲渡することはできません。

著作隣接権
 音楽の著作物について考えてみると、その著作者は作曲者、作詞者、編曲者です。歌手や楽器演奏者は、自作曲でない限り著作者ではなく、著作権を持ちません。しかしこれら実演家も、著作物の伝達において重要な役割を果たしています。
 そこで、著作物の伝達行為に一定の保護を与えるのが著作隣接権です。著作隣接権は、実演家(俳優、舞踊家、演奏家、歌手など)の他、レコード製作者(レコードとは音を固定したCD等の有形媒体のこと、音を映像とともに再生するものは除く)、放送事業者、有線放送事業者に認められています。このうち実演家には、実演家人格権も認められています。

自由利用の規定もある
 著作権法といえども、他人の著作物を勝手に使うなの一点張りではありません。一定の場合には自由に利用することができます。その理由は、すべての創作が先人の遺産を土台としていることや、著作権を制限して著作物を公正円滑に利用させた方が文化の発展に資する場合があるからです。例えば、私的使用のための複製、正当な範囲内での引用、図書館や学校教育等での一定の範囲内での複製、非営利かつ無料かつノーギャラの場合の演奏などです。

特許権の代わりにはならない
 発明は著作権では保護できません。発明はアイデアそのものであり著作物ではないからです。発明を記述した図面や文章には著作物性がありえますが、その場合でも著作権では、せいぜい図面等のコピーくらいしか押さえられないのです。アイデアを具体化した製品は著作権では押さえられません。特許で守るべきものは特許でしか守れないのです。
 意匠、商標にしても、これらの保護対象が同時に著作物性をも持つことは実際には極めてまれで、事業として当てにできるものではありません。

著作権法は頻繁に改正される
 世の中の急速な技術革新への対応のためです。このため、昭和45年の全面改正以来現在に至るまで、数年に一度の頻度で何かしら改正されています。最新の改正は平成18年改正で、①放送の同時再送信の円滑化、②権利制限の拡充(特許審査における文献の複製の許容など)、③罰則の強化、④輸出行為の取締、を内容とするものです。

著作権は、規制ではない
 最後に、大事なことを述べさせていただきます。規制緩和が強く叫ばれるようになって久しいこの頃ですが、そもそも規制とは、官による民の行為へのコントロールです。海賊版が著作権侵害になるというのは、他人の土地に勝手に工場を建ててはいけないのと同じことで、民対民の話です。人権保護のためではあっても規制ではありません。





































支分権の種類
著作権(著作財産権) 複製権
上演権、演奏権
上映権
公衆送信権、伝達権
口述権
展示権
頒布権
譲渡権
貸与権
翻案権、翻訳権等


弁理士 岡戸 昭佳