東海支部の活動について

新聞掲載記事

更新:2009/11/30

元気のいい中小企業紹介★4★

(1)はじめに

 本年度の日本弁理士会東海支部の活動の大きな柱として中小企業支援活動があります。昨今の厳しい経済環境の中、現状打破のため、中小企業こそ「何か新しい取り組み」をしなければなりません。
 私たちは、「元気のいい」中小企業経営者の皆様に、今現在「元気がいい」原因となったその企業における「過去の取り組み」についてお話を伺っています。元気の原因となった過去の取り組みこそ、中小企業が現在行うべき新しい取り組みのヒントになると考えたからです。
 今回ご紹介する企業は、創業時に所在した地域の地場産業を中心に発展し、積極的に知的財産権を保有して自社製品の優位性の確保を図ってきた企業です。

(2)元気のいい中小企業紹介★4★-カネソウ株式会社-

・三重県桑名市は「鋳物の町」
 カネソウ株式会社は、大正11年、三重県桑名市にて創業したメーカーです。三重県桑名市は江戸時代から続く「鋳物の町」として知られており、創業当初は鋳鉄製家庭金物(すき焼き鍋等)を製造販売していました。そして、昭和33年に、当時の建築ブームに対応すべく、建設用鋳鉄製品の製造販売を開始しました。
 同社が現在の規模まで発展することができた要因の一つに、当該地域に集積した多くの鋳物製造業者等と共に成長してきたことが挙げられます。同じ地域の同業者と密接にお付き合いすることにより、未経験分野の製品や施工に関する情報、それらに要求される課題、あるいは市場のニーズ等の情報を、容易かつ迅速に入手することができたそうです。

・カネソウ製品
 同社は、建設用鋳鉄製品から、さらにステンレスやアルミなどへの製品展開も図り、建物に関連するあらゆる建設資材を提供しています。現在、同社の総合カタログに掲載されているアイテムは6,000種類以上を数えます。中でも、落葉などのゴミを取り除きつつ雨水を排水管に流すルーフドレインや、みぞ蓋として用いられるステンレス製のグレーチングは、同社の主力製品となっています。

・知的財産への取り組み ―きっかけは侵害訴訟―
 同社は、知的財産に対する意識が非常に高い企業です。同社の取り組みを例示すれば、製品開発時の先行技術調査、競業他社の出願動向調査、基礎講座と呼ばれる勉強会の年1回の開催、顧問弁理士等による研修会、特許等の積極的な出願、競合他社への警告等が挙げられます。
 「カネソウは特許出願が本当に多いですね。」と言う同業者の声が聞こえてくるそうで、他社製品との差別化に成功しています。同社の社員は、自社・他社製品に接する際には「知的財産は?」ということを常に頭に入れています。このような「カネソウ」の姿勢は、誤解を恐れず表現すると、あたかも『チザイ(知財)』という娯楽を楽しんでいるかのようにも見えます。それほど知財への意識が高いのです。
 ところで、同社が知的財産への取り組みを強化するに至ったのは、昭和62年頃に経験した侵害訴訟がきっかけです。非侵害の判断を勝ち取ったものの、当時の社長は知的財産の重要性を痛感し、全社的に知的財産の態勢を整備することになったそうです。

・総合カタログと知的財産
 同社は、昭和40年頃から、他社に先駆けて総合カタログを発行してきました。この総合カタログは毎年更新しており、現在では約700頁になるものを毎年10万部程、各方面に配布しています。この総合カタログは、同社にとってはなくてはならない存在であり、開発部の各担当者も毎年このカタログに新しい商品を掲載することを目標にして新商品の開発を行っているそうです。このカタログの存在が、毎年新規な発明を生み出しているとも言えます。
 また、カタログに掲載されたものは、必然的に第三者の目に触れることになりますから、特許や意匠の出願は怠ることが出来ません。さらに、各商品には必ず商品名が付されるため、商標出願も欠かせません。この総合カタログを中心にして、カネソウの知的財産が毎年強化されていくようにも感じました。

・今後の展開
 同社の創業の基本理念は、「覇道を行わず常に王道に順う」です。しかし、各製品は成熟期にさしかかっており、今後の製品開発過程においては、ニッチな分野を見つけ、新しい分野をこじ開けていく必要があると同社は考えています。そのときにも知的財産による保護は欠かせません。

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カネソウ株式会社
〒510-8101 三重県三重郡朝日町大字縄生81番地
TEL:059-377-3232
FAX:059-377-3905
HP:http://www.kaneso.co.jp/
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日本弁理士会東海支部 知的財産支援委員会
委員 弁理士 岩田 康利

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