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新聞掲載記事

更新:2009/06/30

意匠登録制度の活用

 商品を選ぶときにデザインが決め手になって買った経験はよくあると思います。例えば、車を購入するとき何を基準に購入を決断しますか。当然、値段は重要な購入の選定基準となるでしょう。では、同じような条件の車が複数存在するときにどの車を選ぶのかを考えると、かっこいい車を買いたくなりますよね。
 このようにデザインは製品の経済性や機能性と同等またはそれ以上に商品に大きな魅力をもたせる役割を担っています。しかしながら、デザインは目に見えているものですから非常に模倣が容易です。今までになかった斬新なデザインをせっかく苦労して創りあげても、あっという間に似たものが世の中に氾濫してはデザインに投資した費用の回収もままならなくなるおそれがあります。このようなことから新しく創作した意匠(デザイン)を保護し、その利用を図る制度が意匠登録制度です。

 特許庁の審査を経て意匠登録をされた意匠権をもつ意匠権者は、登録された意匠およびこれに類似する意匠を独占的に実施することができることになります。意匠権に対する侵害に対しては特許権と同様、警告・損害賠償・使用差止等を求める訴訟提起、水際取締等が可能となり模倣品対策に大いに役立つこととなります。
 意匠法は、保護の対象となる意匠を「物品の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義しています。このような規定からもわかるように、物品に対してデザイン的な措置を施し形あるものであれば保護の対象になり得ます。車や服、かばんの形は勿論のこと、一見デザインとは関係なさそうな機械の部品等の形状も保護対象となります。
 その形状に技術的な要素を含むものは特許でも意匠でも保護に活用することができます。例えば、滑らずによく止まるタイヤの技術は特許でも保護できますが、そのタイヤの具体的な形状は意匠登録制度で保護できるといった具合です。技術を保護する特許制度はその権利の成立までに長い時間を要するとともに、一定水準以上の特許性が求められます。

 一方、意匠制度は現状約1年から2年程度で登録を受けられ、特許性が低いものに関しても形状を保護する意匠登録制度ではアプローチの違いから登録することができる場合もあります。
 加えて日本の意匠登録制度においては、ある意匠のバリエーションを包括的に守る関連意匠制度、特徴的な物品の一部分の意匠を保護する部分意匠制度、一定期間意匠の内容を秘密にしながら登録を図ることができる秘密意匠制度、システムデザインの保護を図ることができる組物意匠制度など目的に応じて多彩なオプションを備えています。これらの制度をうまく活用し強固かつ運用しやすい知的財産保護を図ることができるのです。

 なお、意匠登録制度も特許制度や商標登録制度と同様に基本的に国ごとに制度が制定されています。そのため外国で意匠登録制度を利用するためには各国ごとに出願・登録が必要になってくる点注意が必要です。
 当然、費用の問題も検討しなければならないですが、外国においても意匠登録制度は特許に比べ容易かつ早期に権利化を図ることができる傾向にあり、外国模倣品対策において有効な手段の一つといえます。

 以上のように、意匠登録制度は、模倣品対策・ブランド強化・知的財産の包括的保護の面からも非常に有効な制度です。今までデザインなんかうちの製品には関係ないや、と思われていた場合であっても、形のある商品の保護を考える際には意匠登録制度の活用を一考されることをお薦めします。

弁理士 水野 祐啓