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新聞掲載記事

更新:2010/12/28

商標の活かし方・守り方

 あなたの会社の商品やサービスは競業他社のものと比べて何が優れていますか。優れている点を効率よくPRでき、他の会社の商品やサービスと差別化を図り顧客を吸引することができる方法の一つとして、商品やサービスに固有の名称を付けて売り出すという方法があります。このような自己の商品やサービスと他人の商品やサービスを区別するための目印・標識を商標といいます。
 商標は特許庁に出願し登録をうけることで、登録をうけた商品・サービスについてその商標を使用することは商標権を有している者以外は原則できなくなります。よって、その商品・サービスのみならず、会社の業務上の信用やその商品に備わったブランドイメージ・価値を法的に守ることが可能となります。また、守られている状態で商標を使用することにより、その商品・サービスの独自性や信用、いいイメージが消費者に定着して、ブランドイメージがよくなればまたブランド価値が上がるというさらなる効果が期待できます。
 商標はその作成にあたるネーミング段階からいろいろなことを考慮し進めていく必要があります。まず、シンプルで人に簡単に覚えてもらえる商標であったり、インパクトを持って印象づけることができる商標であることが必要となるでしょう。また、その商標が良い意味・印象を持ちうるかということも、ブランドを構築していく上では重要です。さらに、将来海外販売を考えているのであれば、多言語への移転ができるのか、など多方面からいろいろと検討するべき内容が生じてきます。
 商標のネーミングと同時並行して検討していって頂きたいことは、商標登録をうけられる商標なのかという点です。商標登録出願は、特許庁の審査官が商標法で定められた登録の要件の適否について判断し、その要件を満たしたもののみ登録をうけることができます。その主な要件とは、商標を出願した者がその商標を使用する意思を持っているのか、その商標がその商品・サービスにおいて誰のものか識別できる資質を持ち合わせているのか、すでに同じ商品・サービスの分野で他人が商標権等を有していないか、などです。つまり、商標を作り実際に使い始めてみたものの、それが登録できない商標では、登録できないという問題だけではなく使用することで他人の権利を侵害するおそれも生じ得ます。従って、商標の使用を開始する前に商標調査をおこない安心してビジネスを進められる環境を確認することをおすすめします。
 一方、商標は登録したからといって安心していてはいけません。商標を十分に管理せず使用した結果、その商品・サービスについて世の中で一般的な名称になってしまう場合があります。今年の初めにある寿司店が保有する「招福巻」という商標権に基づいて、商標権侵害をしているとして使用していた企業を訴えたところ、「すでに一般名称化しており商標登録の権利が及ばない」とした判決が大阪高裁から出されました。つまり、「うちの商品名がその商品の代名詞になっている」という状態は名誉なことではなく、せっかく取得した商標権、そして作り上げたブランドを失っているということなのです。また、商標権はその商標を使用しない状態が継続して3年以上続くと第三者からの請求によりその登録が取り消される可能性があります(不使用取消審判制度)。大事な商標であればあるほど使用を継続することが大切になってきます。また、商標登録は10年ごとの更新により権利を継続することができます。更新のし忘れによる権利の失効にも注意が必要です。
 是非、自社の商標取得・管理がしっかりしているかどうか見直して、魅力あるブランドの構築を図ってみてください。

弁理士 水野 祐啓