東海支部の活動について

新聞掲載記事

更新:2011/03/31

特許出願書類作成の第一歩~心がけるべきポイント~

 新技術を発明した際に、何の保護対策もしなければ第三者の模倣を許してしまい、自社技術の優位性を失うことにも繋がりかねません。発明の保護に有効な方策として特許権取得が考えられますが、そのためには所定の書面を特許庁に提出(特許出願)して審査を受ける必要があります。そこで、どのような書面を準備する必要があるのか見ていきたいと思います。

(1)特許願

 発明者や出願人の氏名(名称)や住所などを特定する書面です。発明者は、実際に発明をした個人(複数人の共同発明であれば全員)を記載する必要があり、会社などの法人を発明者とすることはできません。出願人は、発明について特許を受けようとする者を記載しますが、発明者自身だけでなく「特許を受ける権利」を譲り受けた法人も出願人となることができます。

(2)明細書

 発明の内容を開示する技術文献としての役割を担う書面です。特許制度は、発明開示の代償として特許権という独占的な権利を付与する制度です。どれだけ優れた発明であっても、特許庁審査官を含む第三者が発明を理解できなければ特許を取得できませんので、第三者が発明を再現できるように明細書に明確かつ十分に記載することが求められます。従って、独自の用語による表現はできる限り避け、誰が読んでも同じように発明を理解できるように、辞書に記載されている意味や、科学・技術用語として一般に理解されている普通の意味で用語を用いて明細書を記載することが望まれます。具体的には、背景技術や課題、発明の効果、発明を実施するための形態などを記載して、発明の着眼点や作用効果、発明の具体的な実施例を明らかにし、何を発明として捉えているのかを第三者に理解させるようにします。

(3)特許請求の範囲

 発明を特定するための書面であり、発明が特許になった時には権利書としての役割を担う書面です。特許権は発明を実施する権利を専有する権利ですが、目に見えない発明の技術的範囲を特定する重要な書面になります。特許請求の範囲には発明を特定するために必要なすべての事項を記載します。発明に必要でない余分な事項まで記載してしまうと、発明の技術的範囲が不必要に限定されてしまいますので、発明を客観的に観察して過不足なく記載することが重要です。この特許請求の範囲に記載した発明は、明細書にきちんと開示されている必要があります。

(4)図面

 発明の具体的な構成を図示する書面です。目に見えない発明を文章で説明するだけでは理解され難いですから、発明の要点を視覚的に表した図面を添付して、図面を参照しながら明細書で発明を説明します。なお、化学物質などのように発明を図面に表し難い場合は、必ずしも添付する必要はありませんが、発明理解に非常に役立ち、また特許取得に貢献することにも繋がりますので、図面の作成を簡単に諦めずに表現を工夫することが望まれます。

(5)要約書

 発明の内容を簡潔に記載します。権利範囲などには影響しませんので、文字数制限がありますが発明の要点を分かり易く記載します。
 出願書類の作成は難しいと思われることも多いでしょうが、第三者に発明を理解してもらうことがとても重要になりますので、常にこれを心がけて出願書類を作成することが特許取得へ繋がっていくと思います。

弁理士 山田 健司