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新聞掲載記事

更新:2011/06/30

産業財産権の基礎

産業財産権の概要

 私たちの暮らしの中には、たくさんの製品があります。これらの製品は、様々な発明やデザインなどを基にして作られています。この発明やデザインなどは、目に見えない「財産的価値を有する情報」であるため、独占的に占有することができません。したがって、発明やデザインなどは、第三者に容易に模倣されやすい特質を有しています。
 また、商品を購入する時やサービスを受ける時、私たちは商品やサービスを受ける時に使用する物に付されているマーク(文字、図形、記号など)を一つの目印にして選んでいます。そして、マークが継続的に使用され、このマークに信用が蓄積されることによって、このマークにも財産的価値を有するようになります。しかし、第三者がマークを勝手に使用すると、マークの財産的価値が損なわれることがあります。
 そのため、発明、デザイン、マークなどは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つの権利からなる産業財産権によって保護されます。産業財産権の権利者は、この産業財産権で保護される期間中、独占的に実施(使用)することができ、第三者は実施(使用)が制限されます。

特許権(特許法)

 特許権では、発明を保護の対象としています。特許権の保護期間は、原則、出願日から20年です。特許権は、特許出願して実体的な審査を受けてパスしなければ付与されません。実体的な審査では、新しいかどうか(新規性)、容易に発明することができないか(進歩性)、先に出願されていないかどうかなどが審査されます。すでに知られている発明や容易に考えられる発明などは、社会にとって利益が無いため、審査をパスすることができません。

実用新案権(実用新案法)

 実用新案権では、物品の形状・構造・組合せに関する考案(小発明)を保護の対象としています。実用新案権の保護期間は、出願日から10年です。実用新案権は、出願段階に実体的な審査が行われないため、早期に権利化されます。しかしながら、実用新案権は、特許権に比べて権利行使時に権利者に大きな責任が課されます。

意匠権(意匠法)

 意匠権では、独創的で美的な外観を有する物品の形状・模様・色彩のデザインを保護の対象としています。意匠権の保護期間は、設定登録の日から20年です。意匠権は、意匠登録出願して、意匠権の登録要件(例えば、公知のデザインでないかなど)を満たしているかの審査を受けて、審査をパスしなければ付与されません。物品は、原則、肉眼によって認識されるものである必要があります。

商標権(商標法)

 商標権では、商品・サービスに使用するマーク(文字、図形、記号など)を保護の対象としています。商標権の保護期間は、設定登録から10年ですが、更新することができます。ただし、マークを使用していないと、権利が取り消されることがあります。商標権は、商標登録出願して、商標権の登録要件(例えば、他人の著名なマークでないかなど)を満たしているかの審査を受けて、審査をパスしなければ付与されません。

最後に

 産業財産権の権利を得るためには、出願書類を作成する必要があり、また、出願時などに費用が掛かります。そのため、産業財産権の権利を得たい場合には、事前に日本弁理士会などの機関や弁理士に相談することをお勧めします。

日本弁理士会東海支部 UR-10委員会
委員 弁理士 河村 賢昭