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新聞掲載記事

更新:2012/11/30

中小企業のための知財支援策

-全国各都道府県に設けられたワンストップサービス支援窓口-

 弁理士という仕事は絶えず期限に追われており、いそがしさを理由に、小説などもあまり読んだことがありません。しかし、最近、直木賞を受賞した「下町ロケット」という本を知り、しかもそれは特許訴訟の話が出てくるということに興味を覚え、久しぶりに本を買って読んでみることにしました。
 主人公の佃航平は大田区の町工場「佃製作所」の社長であり、宇宙科学開発機構の元研究員です。会社は小さくても技術は負けないと自負をしており、ロケットエンジンに関する特許を取得しております。しかしながら、御多分に漏れず中小企業の悲しさか、下請いじめ、資金不足など、多くの困難に遭遇します。そんな中、ライバルの大手企業から特許侵害で訴えられます。否応なく特許訴訟の法廷闘争に巻き込まれ、モノ作りに情熱を燃やす男たちと、卑劣な企業戦略の戦いが始まります。特許侵害事件の被告として社会的信用を失墜し、資金調達の困難に見舞われる中、ついに倒産かという瀬戸際、危機一髪のところで、自社保有の特許が思わぬ起死回生の一打となります。
 私も、弁理士として中小企業の仕事をさせていただくことがありますが、その高い技術力に驚かされることもたびたびです。しかし、大企業のように専門の知財部門を置いて、じっくり知財戦略を練って特許出願をしていくことは、人員的にも、資金的にも難しいのが現状です。
 そこで、中小企業向けの知財に関する支援事業を利用してみてはどうでしょうか。従来、この種の支援策は、例えば外国出願のための支援補助金の制度とか、特許調査のための制度など、数多くありましたが、要望は多岐にわたるため(例えば明細書の書き方、秘密保持契約、取得特許の活用方法、海外での事業展開)、その都度関係のセクションに相談をしなければならないという煩わしさがありました。このような弊害をなくすべく、平成23年度から、様々な知財の問題を集中して一か所で相談できる「知財総合支援窓口」が各都道府県ごとに設置されています。ここでの最近の相談の例を見てみますと、例えば、次のようなものがありました。

「下請けとして部品の製造・加工に従事しているが、自社で培った製造・加工技術から自社製品の開発、販売をしたいので、知的財産を生かせないか教えてほしい。」
「繊維の製造段階で出る端材を農業分野の培地として使用する方法について知的財産権が取れないだろうか?」
「製品開発において自社技術だけでは解決できない。何か方法はないか?」

「知財総合支援窓口」では、これらの相談に対して専門の相談員によるワンストップサービスを行っています。例えば、知的財産制度を学びたいと思っている初心者レベルの方を対象に、特許制度の概要を中心とした制度説明会の開催を案内したり、知財戦略の支援のための人材を紹介したり、海外での模倣品対策情報を公開したり、海外での知的財産権侵害調査の助成をおこなったりと、その内容は様々です。全国共通ダイヤル0570-082100によって、お近くの窓口につながりますので、一度、ご利用を考えてみてはいかがでしょうか。

弁理士 青山 陽