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新聞掲載記事

更新:2014/01/31

意匠がなくても大丈夫?~不正競争防止法の形態模倣~

■商品の形をまねされたら?

 商品の形状を独占的に使用するには意匠登録をする必要があります。しかし、意匠をとるにはお金も時間もかかります。ここでは申請や登録がいらない不正競争防止法による保護を紹介しましょう。

■「ありふれた」形でないこと

 なぜ商品の形をまねしたら法律に違反するのでしょうか? 裁判所によると「形態の開発のために投下した費用・労力の回収を可能にすることにより,公正な競業秩序を維持するため」(東京地裁平成25年7月19日判決(平成23年(ワ)第28857号)、以下「この事件」といいます。)だということです。つまり、お金と労力をかけてつくりあげた商品の形をまねするのは、ルール違反だし、開発者にしてもやる気(インセンティブ)をなくしてしまうということです。
 ただし、「ありふれた」形は、お金や労力もかかっていませんし、これを独占されてしまうと、あとから商品を出す人が大変です。なので「ありふれた」形は保護されません。
 この事件では、小型の電気マッサージ器の形が問題になりましたが、従来品と比較して半分未満となる全長64ミリと小型であったこと、そのため携帯ストラップとしても使えることが異なり、小型にするために、お金と労力をかけたことから、「ありふれた」形ではないとされました。

■実質的に同一であること

 つぎに、まね(模倣)したとはどういう場合でしょうか? この事件で裁判所は「他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すこと」だとしています。
 ここで気をつけてほしいのは、「実質的に」同一ということなので
、少しなら違ってもいいですよ、という点です。裁判所は、「相違する部分があるとしても,その相違がわずかな改変に基づくものであって,商品の全体的形態に与える変化が乏しく,商品全体から見て些細な相違にとどまると評価される場合には,当該商品は他人の商品と実質的に同一の形態というべきである。これに対して,当該相違部分についての改変の着想の難易,改変の内容・程度,改変が商品全体の形態に与える効果等を総合的に判断したときに,当該改変によって商品に相応の形態的特徴がもたらされていて,当該商品と他人の商品との相違が商品全体の形態の類否の上で無視できないような場合には,両者を実質的に同一の形態ということはできない。」としています。商品全体からみて、少しの違いといえるような場合は模倣したということになります。
 この事件では、電気マッサージ器の配色に違いがありましたが、裁判所は、全長の小型化や携帯ストラップにも使えるという特徴は同じなのだから、商品全体からみれば少しの違いだとして模倣したと認めました。

■この事件では裁判所は侵害を認めましたが、実際には、この法律で守られる範囲は小さいのが現状です。主要となる商品の形については意匠をとる必要があることにかわりはありません。

弁護士・弁理士 水野 健司

原告の製品(左)と従来の製品 原告の製品(左)と従来の製品