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新聞掲載記事

更新:2014/01/31

意匠登録の積極利用を

 「この車のスタイルはいいなあ。この車を買おう。」というように、デザインの良さが購買動機につながるような優れたデザインを、保護するのが意匠法であることは、間違いありません。多分その車のデザインは意匠登録になっていることでしょう。
 日本の意匠法は、このように見た目に優れたデザインを保護するだけではなしに、デザインの良さが購買動機につながることのない純然たる機能的な意匠も保護するのです。すなわち、アイディアが形状に現れた場合には、ほとんどの場合保護の対象となるのです。
 たとえば、エンジンの部品であるピストンやピストンリングも意匠登録の対象になります。およそデザインの良さが購買動機や売れ行きに関係することはないのですが、単独で取引の対象となる限り意匠登録されるのです。
 どうしてそうなのか。意匠法第2条で「意匠とは何か」ということについて定義を設けています。「意匠とは、物品(物品の部分を含む)の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」となっています。
 この定義中「物品」というのは、通常単独で取引される有体物、動産ということになっています。ただし、不動産でも、量産できるプレハブハウスやその部品は、意匠法の物品として認められています。従って、ピストンやピストンリングも単独で取引の対象となるのであれば、すなわち補修部品として、単独で流通するのであれば、意匠法上保護の対象となるのです。
 さらに、問題は「美感」です。文字の感覚だけからいえば、この美感に購買動機につながるデザインの良さが含まれていそうですが、通説は「趣味感」ということになっています。筆者はこれを「看る人に対して、何らかの刺激を与えるものであればよい」と解釈しています。通説では「何らかの美的処理がなされていればよい」とされています。
 通常、「物品性さえ満足すれば、美感はある」として、意匠出願実務を進めてよいのです。そうすると、多くの機械部品や生活必需品そのものはもちろんのこと、その部品についても、多くの場合意匠登録の対象となるといえます。
 アイディアを特許で出願するのは、もちろん必要ですが、それに形があるときは、必ず意匠出願をすることをお勧めします。
 意匠登録の有利さについて、さらにいくつかの点を挙げることができます。
 まず、特許出願が特許される確率は平均65%であるのに対して、意匠出願が登録される確率は平均85%です。
 さらに、出願されてから審査に着手されるまでの期間は、特許が平均20.1か月であるのに対して、意匠は平均6.3か月です。部門によってはわずか2か月で登録されることがあります。
 意匠出願の出願料は16000円で、特許の15000円に比較して、1000円高いのですが、特許は約15万円の審査請求料を支払わないと審査されませんが、意匠は審査請求料の支払いは不要です。特許事務所に依頼しても、特許出願に比較すると、意匠出願の方が1件当たりの手数料は安くつくのが普通です。
 意匠出願であなたのアイディアを守ることを、視野に入れていただきたいと思います。

弁理士 恩田 博宣