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新聞掲載記事

更新:2015/07/31

中小企業における知財管理のあり方について

 1.「特許出願中」で十分ですか?
   営業担当が「特許出願中」と書かれた製品カタログをもって相談に来ることがあると思います。「特許出願中」
  は、中小企業にとって有効な知財活用方法の一つと思います。自社技術の優位性をアピールし、顧客の心を捉え
  ます。
   でも、ちょっと待って下さい。出願しただけでは特許になりません。「出願審査請求」をして審査にパスしな
  ければならないからです。「今さら言われなくても分かっている。」と言われそうですが、「未請求取下」にな
  っている出願は結構たくさんあるのです。

 2.何を調査しますか?
   「特許出願中」のカタログが持ち込またら、「出願人/権利者」を検索項目にして調査すると思います。出願
  を特定できたら、「特許請求の範囲」を確認すると思います。でも、権利解釈や進歩性判断は難しい。そんなと
  き、経過情報を開いてみましょう。「未請求取下」かも知れません。処分未確定なら、ウォッチングしましょう。
  経過情報を定期的に調査するのです。権利解釈は難しくても、「未請求取下」「拒絶査定」で権利化されなくな
  れば一安心です。

 3.該当する出願が見つかりません。どうしましょう?
   公開公報は出願から1年6月経過しないと発行されません。出願したばかりかも知れません。処分の内容どこ
  ろか、出願の意図も把握できません。競合他社による「特許出願中」の知財戦略が活きています。
   そんなとき、競合他社のこれまでの出願を調査したら何か分かるかも知れません。出願はするけれど特許は取
  得しないという方針かも知れません。特に、自社出願の中小企業にはこの傾向があったりします。

 4.自社出願だと何故その様な傾向になるのでしょう?
   逆を考えてみましょう。代理人は、時期がくれば出願審査請求の要否を依頼人に問い合わせます。出願後も関
  わることは売上につながり、頼まれなくても管理していることが多いからです。
   代理人がないときは、この管理を出願人自身がしなくてはなりません。発明発掘、出願承認、明細書の作成、
  等々、出願までは知財担当の重要な仕事として管理されていても、出願後の管理は手薄になることがある様です。
  その違いが出てくるのです。

 5.自社の出願を管理するだけで十分ですか?
   営業担当からの相談時、出願審査請求の要否判断時、いずれにおいても、自社・競合他社の製品の把握はもち
  ろん、業界の出願動向を把握することは重要だと思います。
   知財管理は、こうした様々な情報を総合的に管理する仕事だと思います。
   なかでも、特許調査から知財管理体制を構築することが重要ではないかと思っています。

                                          弁理士 森 泰比古