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新聞掲載記事

更新:2015/09/30

特許取得後の試作品製作

1.個人発明家の悩み
   個人で特許権を取得された方の中には、折角特許を取得したのに製品化を諦めてしまう方も多いという話を耳
  にします。その理由の1つとして、試作品がないため、企業に話を持ち掛けても特許の良さを理解してもらえず、
  協力が得られなかったというケースがあります。

2.試作品製作のハードル
   それでは、企業に試作依頼すれば解決するかというと、そうでもありません。試作を依頼する場合には、金
  型代などで特許出願以上に費用が必要となる場合もあり、試作を断念される方もいます。また、数百個から千個
  単位でないと試作を受け付けてもらえない場合もあり、大量の在庫を抱えるリスクもありました。

3.3Dプリンタの登場
   しかし近年では、この試作品事情に変化がでています。それは3Dプリンタの登場によるものです。3Dプリ
  ンタは、3Dデータに基づいて樹脂等を少しずつ積み重ねて模型を作っています。そのため、1個からでも試作
  品を作成でき、金型も不要であるため、安価に試作品を作れます。

4.3Dプリンタの使い方
   用意するものは、3Dプリンタ用のソフト(無償で提供されています)と、パソコンだけでOKです。3Dプ
  リンタは要らないの?と思われるかもしれませんが、実は3Dプリンタ自体を用意する必要はありません。最
  近では、試作品を製作して配送してくれるサービスがあります。3Dデータを送れば、インターネット通販と同
  じような感覚で試作品が手元に届きます。

5.3Dソフトについて
   肝心の3Dデータですが、「3D」と付いているだけで、難しい!という印象を持たれる方も多いと思います
  が、思いのほか簡単に扱うことができます。3Dプリンタ用のソフトは、球体、立方体、円筒などの単純な形の
  ブロックを組み合わせて、目的の形を作っていきます。おもちゃのブロックや積木を思い浮かべていただけると
  分かりやすいと思います。単純な形のブロックでも、組み合わせ次第で複雑な模型を創れるのと同じ感覚ですね。

6.協力例
   試作品の例として、私がお手伝いした事例をご紹介します。写真右側は主婦の方の発明で、錠剤シートから錠
  剤を簡単に取出せる錠剤容器です。錠剤を取出した後に、錠剤を床に落としてしまうことが多いことから思いつ
  いた発明です。この錠剤容器を使えば、錠剤シートから取出した錠剤が床に落ちる心配もありません。写真左側
  は大工さんの発明で、コンクリート壁型枠の組立てに使われる型枠用のPコーンの部品です。軸体部分にくびれ
  があるため、工具を引掛けやすく作業性がよくなっています。普段の仕事にかかっていた手間を減らしたい!と
  いう発想から思いついた発明です。

7.むすび
   実際に試作品を創って手に取ってみると、使い勝手がよくなる改善点なども簡単に検討できるのがいいですね。
  3Dプリンタであれば、改善点を盛り込んだ新しい試作品の製作も簡単です。興味のある方は是非一度お試しく
  ださい。

                                           弁理士 高木 将晴