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新聞掲載記事

更新:2015/12/25

特許・商標・著作権有効活用の基本

   支離滅裂で矛盾しているように思われるかもしれませんが、商標では、範囲を狭めて商標権を取得するか、又
  は、範囲を拡げて商標権を取得する。特許では、範囲を拡げて特許権を取得し、且つ、範囲を狭めて特許権を取
  得する。これが、有効活用の基本です。
   まず、商標。
   商標出願では、商標を付す商品やサービスを指定しますが、この指定を、以下のように行うことが重要です。
   商品名称としての商標(例えば、綾鷹=あやたか)を出願する場合は、当該の商品(例えば、茶飲料)のみを
  指定する。即ち、指定商品の範囲を必要最小限の範囲に狭めて商品名称の浸透を図るとともに、不使用取消のト
  ラブルを回避する。
   一方、商品名称を離れた商標を出願する場合は、現在及び将来の業務を網羅できるように、商品やサービスを
  指定する。即ち、指定商品・サービスの範囲を、業務を十分にカバーできる範囲まで拡げる。商品名称を離れた
  商標とは、例えば、会社の名称や、統一ブランド(例えば、シャネル)等です。なお、このように指定商品・サ
  ービスの範囲を拡げる場合には、不使用取消トラブルを回避するための方策を用意しておくことも重要です。
   次に、特許。
   特許権の範囲は、特許請求の範囲の各請求項で規定されます。この権利範囲を、(1)広く抽象的に記述した
  請求項と、(2)狭く具体的に記述した請求項とを併記して出願し、権利化します。前者(1)は権利の広さを
  生かして他社牽制用に用い、後者(2)は具体性を生かして警告や損害賠償請求等に用います。つまり、用途に
  応じて各請求項を使い分けます。
   このように、商標や特許を有効活用可能とするためには、出願時点から、将来の業務展開を見据えて、適切に
  権利設計しておくことが必須です。言い換えれば、権利設計が適切でないと、有効活用は困難になります。
   著作権。
   著作権は創作で発生します。即ち、商標や特許とは異なり、出願や登録無しで発生します。また、同一に見え
  る物であっても、真似でなければ、それぞれに、著作権が発生します。即ち、著作権が重複して発生することも
  あり得ます。
   このような性質のため、著作権の場合、或る日、突然、「著作権侵害」の警告を受け、損害賠償を請求される
  という事態が、特許や商標よりも、発生し易くなります。
   これを回避するためには、真似しない、他人の創作物を無断で使わない等の注意は当然として、さらに、ネッ
  トへ写真や動画をアップロードしたり、パンフレットを作成したりする際には、他人の創作物の写り込みが無い
  ことを、事前に十分に確認することが必須になります。
   また、自社の創作物については、その着想から完成に至るまでの過程を、改竄不可能な記録として日付ととも
  に残しておき、他者の真似でないことを立証できるようにしておくことが、活用の前提となります。
   かかる商標権・特許権・著作権の差異を知悉することで、知的財産の有効な活用が可能になります。

                                           弁理士 丸山 明夫