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新聞掲載記事

更新:2016/02/29

営業秘密の保護~法律で守られる営業秘密とは?~

   不正競争防止法という法律は事業者間の公正な競争を妨げる一定の行為を「不正競争行為」と呼んで違法とし
  ています。その中に、他人の営業秘密の侵害(不法な取得・開示・使用)という行為が含まれています(二条一
  項四号以下)。営業秘密の保有者は侵害した者に対してそれに基づく使用の予防・差止や損害賠償が請求できる
  のです。侵害者には場合によって刑罰も科されます。大企業の営業秘密を不法に取得したり開示したりした従業
  員などが不正競争防止法違反として逮捕され、有罪判決を受けたという事件も最近よく見聞します。外国企業へ
  の流出も目立つようになりました(そのため昨年海外への流出の犯罪態様が追加され、これらに対する刑罰を重
  くする改正がされました。)。
   ところで不正競争防止法で保護される営業秘密は少し厳しい要件が定められています(二条六項)。一は秘密
  として管理されていること(秘密管理性)、二はその企業の事業活動のために営業上又は技術上有用であること
  (有用性)、三は公然と知られていないこと(非公知性)で、この三つの要件を全て満たすことが必要です。
   裁判例では、最初の秘密管理性があるというためには(1)秘密情報にアクセスした者に当該情報が営業秘密
  であることを認識できるようにしていることと(2)当該情報にアクセスできる者が制限されていることの二つ
  が必要です。必要とされる秘密管理措置の内容や程度は、企業規模、業態、従業員等の職務、情報の性質などの
  事情によりますが、営業秘密の管理部署ごとの従業員等が営業秘密であることを容易に認識できる程度のもので
  あればよいといえます。ただし実際に秘密が漏れてしまえば保有企業は大きな損害を被るわけですから、この基
  準以上に厳重に秘密を守る措置を執ることが必要です。
   二つ目の有用性については、保護に値する技術上・営業上の財産的価値のある情報であることとされています。
  脱税の手口など反社会的な(公序良俗に反する)内容の情報を除くほかは、客観的に事業活動に役立つものであ
  ればよく、現に使用していなくても、また失敗データなどネガティブ情報でも構いません。
   三つ目の非公知性は、情報が公然と知られていないことで、保有者の管理下以外では一般に入手できない情報
  であることとされます。最近の裁判例で、市場で流通している製品から容易に取得できる情報は「公然と知られ
  ていないもの」とはいえないことを理由として、雨戸を組み立てるに当たって使用される補助的な部品等が、一
  般的な技術的手段を用いれば当該雨戸の製品自体から再製することが容易なものであるとして、非公知性を否定
  したものがあります。
   このような営業秘密の具体例(表)を掲げておきますから参考にしてください。

                                           弁理士 相羽 洋一

経経済産業省「営業秘密の考え方」から 経経済産業省「営業秘密の考え方」から