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新聞掲載記事

更新:2016/03/31

非弁行為にご注意を

   少し前の話ですが、2013年6月に東京都内の行政書士が弁理士法違反容疑で逮捕されました。逮捕容疑の
  「弁理士法違反」とは、弁理士でない者が商標登録出願を代理し報酬を得ていたというもので、いわゆる「非弁
  行為」です。特許、実用新案、意匠、商標の出願の代理やそのための書類の作成を報酬を得て行うことは、弁理
  士のみに認められる業務であり、これに違反すると、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられます。逮
  捕された行政書士は、元々弁護士事務所で弁護士を補佐して商標登録出願業務に従事していましたが、その弁護
  士が2005年に死去後もその代理を装って出願手続を続けていたのです。2005~13年の9年間に約2千
  件もの商標登録出願をしたということですから、常習的に非弁行為を行っており、かなり悪質な感じがします。
   ところで、非弁行為が禁止される法趣旨は、「手続の円滑化を図り、国民が迅速、的確に権利を取得できるよ
  うにする」ところにあると言われています。出願書類の作成や、その後の種々の対応には専門的知識を必要とす
  るため、これを代理できる者を弁理士という国家資格者に限定することで、国民の権利保護を図ろうということ
  です。
   十分な専門的知識を有していないと、例えば、特許出願において、技術的思想である発明を文書・図面で適切
  に表現することは容易ではありません。また、商標登録出願において、標章の識別力の有無、他人の登録商標等
  との類否等を判断し、指定商品・役務を適切に決定することは容易ではありません。そして、拒絶理由が通知さ
  れた場合に、適切に反論し、必要な補正をすることも容易ではないのです。実用新案や意匠でも同様です。
   したがって、弁理士資格を有していない専門的知識のない者に手続を依頼した場合、十分な出願書類が作成さ
  れることは期待できませんし、拒絶理由通知を受けた場合に、補正は当初の出願書類の記載の範囲内に限定され
  るため、不十分な出願書類では有効な補正が困難となり、権利化ができなくなる可能性も高いのです。
   非弁行為は、行為者が弁理士法違反になるだけでなく、依頼者が適切な権利を得られず或いは権利取得の機会
  を失うという不利益を被ります。弁理士でない者に決して手続を依頼することの無いように、注意して頂ければ、
  と思います。

                                           弁理士 恒川 圭志