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新聞掲載記事

更新:2016/09/30

オリンピック関連ワードの使用

   第31回オリンピック競技大会(2016リオデジャネイロ)が終わりましたね。日本がメダルラッシュに沸くな
  ど、記憶に新しいところです。
   さて、オリンピックといえば、関連ワードの囲い込みが話題になったりします。
   今回のリオデジャネイロオリンピックでも、米国オリンピック委員会(USOC)が、「#RIO2016」のハッシュ
  タグを付けたツィートなど、企業のソーシャルメディア投稿を禁止したことが話題となりました。
   また、思い起こせば、2012年のロンドンオリンピックの際も、1)「Games」又は「2012」と、2)「London」
  「Summer」「Sponsor」「Medals」「Gold」「Sliver」又は「Bronze」との組合せを、ビジネスで使用すること
  が禁止され、話題となりました。
   各オリンピック委員会が、関連ワード使用に神経を尖らせているのは、いわゆる便乗商法(“アンブッシュマ
  ーケティング”と呼ばれたりします)を防止するためです。便乗商標がまかり通ると、スポンサー企業から協賛
  金を得られにくくなるため、その防止策を打ち立てる必要性は、確かに理解できますね。
   そして、関連ワードの使用の禁止となると、「商標法」「不正競争防止法」などといった法律が根拠になりそ
  うということは、理解しやすいと思います。例えば、日本では、国際オリンピック協会(IOC)や日本オリンピ
  ック協会(JOC)が、「オリンピック」「がんばれ!ニッポン!」等のワードに関する商標権を複数持っていた
  りします。
   ただ、例えば「試合」「東京」などといった、ごくごく一般的なワードの組合せを禁止するとなると…?
   一般的なワードの使用にこれだけ厳しい規制をかけるとなると、「商標法」「不正競争防止法」などでは難し
  そうですので、別の、それなりの法的根拠が要るはず。
   では、いったい、どんな根拠で、一般的なワードの使用禁止が打ち出されているのでしょうか。
   実は、ロンドンオリンピックでもリオオリンピックでも、IOCの要請で、時限立法としてのアンブッシュマー
  ケティング規制法が作られて、その規制法で、通常の知的財産権よりも強力なワード規制が行われたようです。
  上記のロンドンオリンピックの際のワードの組合せ使用禁止も、この規制法によるものです。
   日本でも、2020年の東京オリンピックに向けて、このような時限立法がなされて、ワード規制が行われる可能
  性も考えられます。
   また、既に、(公)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が、「大会ブランド保護基準」※1
  を公表して、「東京2020」等を保護対象とする、としています(なお「TOKYO 2020」は商標登録されていま
  す※2)。
   このように、東京オリンピックを少しでも連想させるようなワードをビジネスで使用することは、規制対象と
  なる可能性もあります。
   でも、もし、非商業的な使用も規制の対象となったとしたら、ちょっと行き過ぎ感がありますね(ちなみに、
  リオオリンピックでは、「Olympic Games」「Rio 2016 Olympic Games」 などのワード使用が、ビジネスに関連す
  るか否かにかかわらず、禁止されたようです)。純粋にオリンピックを盛り上げよう!という気持ちで関連ワー
  ドを使ったら、JOC等から警告されてしまった… なんて、テンションだだ下がりです…。
   そうでなくても我が国では自主規制や自粛が過剰となりがちですから、公式スポンサー以外は誰もがオリンピ
  ックについて沈黙…なんて光景になると、ちょっと寂しいですね。せめて、非商業的な使用については、寛大な
  措置をお願いしたいところですが…。

※1 全区分、ほぼ全ての商品・役務を指定しているようです。
※2 https://tokyo2020.jp/jp/copyright/data/brand-protection-JP.pdf

                                           弁理士 廣田 美穂