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新聞掲載記事

更新:2016/11/30

弁理士知財キャラバン本格稼働

   本紙でも過去に2度ほど紹介した日本弁理士会の「弁理士知財キャラバン」事業が本格的に稼働しています。
  この事業は、中小企業の知財活動を推進するために平成27年度から始まり、今年度は2年目を迎え応募企業も
  増え支援実績も蓄積してきました。
   この事業で知財支援を希望する中小企業に派遣される弁理士は、一定の研修を受講した後に知財コンサルティ
  ング実習を行い、その結果を日本弁理士会から審査され履修支援員の認定を受けなければなりません。平成27
  年度に2回、平成28年度に1回の履修プログラムが実施され、これまでに762名の弁理士が受講しました(平
  成28年9月23日現在、以下同じ)。そのうち、202名が既に履修支援員の認定を受けて登録されています。
  この202名の履修支援員に加え、知財コンサルティングの実績がある22名が推薦支援員として登録されてい
  ます。また、日本弁理士会東海支部が管轄する中部地区(愛知・岐阜・三重・静岡・長野の各県)では、124
  名の弁理士が履修プログラムを受講し、25名の履修支援員と3名の推薦支援員が登録されています。
   一方、日本弁理士会では「弁理士知財キャラバン」による知財コンサルティングを希望される中小企業を広く
  募集し、昨秋から支援員の派遣を開始しています。これまで83社からの応募があり、既に22社への知財支援
  が終了しています。日本弁理士会東海支部が管轄する中部地区では、11社の応募があり既に3社への知財支援
  が終了しています。
   応募される企業の中には、既に多くの特許出願・商標出願などの実績がある企業から、これまで特許出願・商
  標出願などに縁のなかった企業まで広範囲にわたる企業が含まれます。また、製造業だけでなくサービス業にも
  知財があります。「弁理士知財キャラバン」は、これからも募集を続けていきます。
   ここで、「弁理士知財キャラバン」の内容をもう一度説明します。知財キャラバンでいう「知財(知的財産)」
  とは、一般に認識されているような特許・実用新案・意匠・商標などの権利(狭い意味の知財)に限定されるも
  のではなく、もっと広い意味で使用しています。例えば、特許出願すべきか、或いは、営業秘密(技術内容も含
  む)として企業内で秘密管理すべきか、秘密管理するとなればどのようにして行うのかなどといった事業戦略に
  密着した判断も取り扱います。また、企業の強みを分析し、競合他社との差別化を図るためのアドバイスなども
  行います。これらは一部ですが、単なる特許相談ではなく知財戦略を行います。
   これらの知財戦略は、大企業においては知財部や法務部といった専門領域の部署が担当します。しかし、多
  くの中小企業においては、知財部などの部署や専門知識を持った人材もいない場合が多いものです。そこで、「弁
  理士知財キャラバン」の支援員は、中小企業の知財部や法務部の役割を担う外部専門家として、中小企業の事業
  戦略をサポートする知財戦略を提案させていただきます。
   具体的には、「弁理士知財キャラバン」の支援員は、まず第1回目の訪問で企業の経営内容・事業内容につい
  てヒアリングをしたうえで、その企業の現状分析を行って経営課題を抽出します。そして、その結果を基に第2
  回訪問で課題の摺合せを行います。つまり、企業が考えている経営課題と、支援員(弁理士)が考える経営課題
  が異なる場合、これらを客観的に判断するための作業です。外部の視点が入ると、経営課題も明瞭になることが
  多いものです。これらを踏まえ、第3回訪問で摺合せた課題を解決するための知財面からの戦略提案を行います。
   これまでに知財支援が終了した企業からのアンケートによれば、多くの企業から好評を得ると共に、他社にも
  是非紹介したいというご回答を頂いています。日本弁理士会の「弁理士知財キャラバン」事業は始まったばかり
  です。これからも、更に多くの企業から知財支援のご要望が届くように期待しています。

                                            弁理士 山田 稔