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新聞掲載記事

更新:2017/03/31

新規性喪失の例外規定について

 1.発明の新規性喪失
   出願より前に新規性を喪失した発明については、原則として、特許を受けることができません。新規性を喪失
  した発明とは、簡単に言うと第三者が見たり聞いたりして知ってしまった発明のことです。特許制度の趣旨は発
  明の公開の代償として独占権を付与するものですから、特許権が付与される発明は、出願時において誰も見たこ
  とも聞いたことも無い新規な発明でなければならないということです。従いまして、(1)不特定の者に秘密で
  ないものとしてその内容が知られた発明、(2)工場等の製造現場を不特定の者に見学させる等して公然知られ
  る状況で実施をされた発明、(3)頒布された刊行物に記載された発明については特許を受けることができませ
  ん。
  しかし、自らの発明を公開した後に、公開した発明について特許出願をしても特許を受けることができないとす
  ると、発明者にとって酷な場合があります。即ち、研究者が学会発表、論文発表した場合、企業が製品販売、テ
  レビ等で発表したような場合であっても特許を受けることができないとすると、研究者は出願が完了するまで学
  会発表することができないし、企業は出願が完了するまで製品販売も宣伝活動もできないことになり、発明を奨
  励し、もって、産業の発達に寄与するという特許法の趣旨に反してしまいます。そこで発明の新規性喪失の例外
  規定が設けられています。

 2.発明の新規性喪失の例外規定
   発明の新規性喪失の例外規定が適用される発明は、権利者の意に反して公開された発明(いわゆる冒認)、ま
  たは権利者の行為に起因して公開された発明であって、発明が公開されてから出願されるまでの期間が6月以内
  の発明です。権利者の行為に起因して公開された発明には、試験の実施、刊行物への発表、電気通信回線を通じ
  ての発表、博覧会への出品等によって公開された発明、集会・セミナー等で公開された発明、テレビ・ラジオ等
  で公開された発明、販売によって公開された発明等があり、これらが適用対象になります。しかしながら、発明
  の新規性喪失の例外規定はあくまでも特許出願より前に公開された発明は特許を受けることができないという原
  則に対する例外規定であることに留意する必要があります。仮に出願前に公開した発明について例外規定の適用
  を受けたとしても、第三者が同じ発明を独自に発明して先に特許出願していた場合や先に公開していた場合には、
  特許を受けることができませんので、可能な限り早く出願をすることが重要です。

                                           弁理士 長谷 久生