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新聞掲載記事

更新:2017/07/31

統計からわかる知的財産権~中小企業にまつわる数字~

 中小企業のなかにも、知的財産権(知財)を有効活用して成功している企業があります。数多くある中小企業のう
ち、知財を活用している企業はどれほどでしょうか。中小企業にまつわる統計資料を眺めてみました。

 1.中小企業の特許出願件数
   日本全体の特許出願件数のうち、中小企業の特許出願件数は約1/7です(*1)。まだまだ大企業が主流と言えま
  す。しかし、図表1に示すように、中小企業の特許出願件数に限りますと、近年増加傾向にあります。中小企業向
  けの減免制度が充実してきたことも要因の一つでしょう。今後ますます、知財を活用し始める中小企業が増えて
  くると思われます。
   では、ものづくりの盛んな愛知県における中小企業の特許出願件数はどうでしょう?年間で約7000件(2014)
  の出願が愛知県の中小企業から出願されています。これは、愛知県の全特許出願件数の、約1/4にあたります(*2)。
  やはり、愛知県のものづくりを支える中小企業さんは知財への意識がとりわけ高いようです。

 2.知財のトラブル
   さて、知的財産権を保有する最大のメリットは、他社の模倣を抑止することができる点です。ということは、
  企業活動のなかで、例えば自社の技術を模倣されてしまう状況にもなりうるし、逆に、知らずに模倣してしまっ
  ている状況にもなりえます。ここで、知財にまつわるトラブルは、どれほどの頻度で発生しているのかみてみま
  しょう。約450社のアンケートによれば、約20%の会社が「権利侵害等のトラブル経験あり」と回答しています
  (*3)。
   ここで注目すべき点は、図表2に示すように大企業の模倣被害率は減少傾向にあるが、中小企業の模倣被害率
  は増加しているということです。特に、中小企業では、「技術模倣等の被害」にあう割合が大企業よりも高い傾
  向となっています(*4)。

 3.知財と会社の儲け
   では、中小企業が特許を保有して本当に利益につながるのか?という疑問もあるかと思います。図表3に示す
  ように、特許は、営業利益率(3.5%)に好影響を与えているようです。もっといえば、特許が営業利益に好影
  響を与える度合いは、大企業よりも大であるようです(*5)。
   未然のトラブル回避や利益率アップのため、知財をぜひご活用下さい。

 〔*1 特許庁行政年次報告書2015年版(特許庁)〕
 〔*2 第6回中小企業・地域知財支援研究会(平成27年7月8日)資料2(特許庁普及支援課)〕
 〔*3 あいち科学技術・知的財産アクションプラン2016-2020(平成28年3月)〕
 〔*4 特許行政年次報告書2016年版第3章〕
 〔*5 知財分野における地域・中小企業支援について~地域知財活性化行動計画~平成28年9月特許庁〕

                                           弁理士 岩田 康利

図表1 図表1

図表2 図表2

図表3 図表3