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新聞掲載記事

更新:2005/02/28

ITベンチャー知的財産戦略セミナー報告

 昨年の夏、情報通信分野のベンチャー企業の方を対象とした「ITベンチャー知的財産戦略セミナー」が、総務省、日本弁理士会、独立行政法人情報通信研究機構の主催で開催された。このセミナーは、全国7地域で一斉に開催され、東海地区では名古屋の「あいちベンチャーハウス」が会場となった。セミナーは計5回行われ、各回前半を講義、後半をグループ演習という形式で進められた。講義では、「発明のとらえ方」や「先行技術調査」等、主に特許出願に関する内容がわかり易く説明された。
 その後のグループ演習では、具体的な事例を用いて、「発明の把握→従来技術との比較→特許請求の範囲の作成」という一連の作業を行った。以下に、私が講師を務めたグループ演習の内容を紹介する。

 グループ演習は、参加者の特許出願等の経験により、初心者、経験者の2グループに分かれて行われた。私は、経験者グループの担当となった。相手はITの専門家である。正直いって、IT関連の難しい質問をされたらどうしよう・・・という不安を抱きながらのスタートであった。取り組んだ事例は、いわゆるインターネットショッピング。日頃、私達がお世話になっている内容なので、比較的とっつき易かったと思う。

 まずは、発明の把握。今回は、比較的単純な(言ってみれば少々古い)システムを「発明」としたため、参加者からは、「もっとこうした方がいい」、「商売するにはこうしなくては」等々、数多くの意見が挙がった。
 とても有用な意見だったが、あくまで演習の課題ということで、我慢してもらった。また、参加者の中には、事前に予習し、発明の内容を表す見事な図を作成してくれてきた方もいて、何とも頼もしかった。

 こうして発明を把握した後は、従来技術と比較して発明の構成要素を列挙し、いよいよ特許請求の範囲の作成である。参加者からは、「特許請求の範囲はわかり難い」という声が多く挙がった。独特の言い回しや用語で、「読んでもわからない」、「私の発明が何でこうなるの?」といった不満があるようである。したがって、今回の演習では、こちらで用意した特許請求の範囲例の各請求項の内容を、先に列挙した発明の構成要素に基づいて解説した。発明の構成要素を明確にすることで、請求項の内容をそれほど抵抗なく理解して頂けたように思う。また、この演習で特許請求の範囲の作成過程を体験することで、特許請求の範囲が少しは読み易いものとなったのではないだろうか。

 今回のセミナーでは、知的財産についての知識はもちろん、グループ演習を通じて、特許出願を弁理士に依頼する時にはどんな事を説明すればよいか、という事を学んで頂けたと思う。また、セミナー最終日に開かれた交流会では、参加者の皆さんの活発な情報交換が行われたようである。「ITベンチャー知的財産戦略セミナー」の今年の開催は未定であるが、興味をもたれた方は、同セミナーのウエブサイトを一度ご覧下さい。アドレスは、次の通り。http://www.venture.nict.go.jp/event2/ipr2004/info_ipr.html

弁理士 進藤 素子