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新聞掲載記事

更新:2017/11/30

弁理士の役割

 『弁理士』って知っていますか?便利屋や弁護士ではありません。
 皆さんの中で弁理士という職業を聞いたことがある人、業務内容を知っている人はほとんどいないのではないでし
ょうか。でも弁理士は重要な役割を果たしているんです。
 商標法がなければ「コカコーラ®」と「ペプシコーラ®」の見分けがつかないかもしれません。特許法がなければス
マートフォンが開発されず、こんなにも便利な世の中ではなかったかもしれません。
 我々弁理士は、今の生活を当たり前に過ごすため必要な商標や特許等の知的財産を守る専門家(国家資格者)なん
です。
 日本の商標法の始まりは、明治17年に遡ります。そして、日本初の登録商標は、平井祐喜による「膏薬丸薬」に
ついての商標(図1)です。商標法は、商標を保護することによって、商標が付された商品等の出所を明確にし、他
者の商品等との区別を可能にします。そして、商品等の出所や商品等そのものが特定されれば、その品質が保証され
ることになります。
 例えば、コーラ飲料を買おうとした時に、「コカコーラ」や「ペプシコーラ」の他にもスーパーマーケットのオリ
ジナルコーラ等が店頭に並んでいて、それぞれ似たような名称、見た目になってしまえば好みのコーラ飲料を選ぶこ
とは難しくなってしまいます。いくら味の改良をして独自性を出し、ブランドとしての価値を向上させようとしても、
他の商品と区別ができなければ商品が売れず、これらの努力は水の泡となってしまいます。
 欲しいものを安心して手に入れることができるのは、商標法のおかげともいえます。
 そして、日本の特許法の始まりは、明治4年の専売略規則というものです。その後、明治18年に「専売特許条例」
が公布され現在に至ります。ちなみに、特許第1号は堀田瑞松により出願された「堀田式錆止塗料とその塗法」です。
特許権とは、独占排他権といって、特許権の技術範囲を独占的に実施(使用)し、他者の実施を排除することができ
る権利です。つまり、特許権の対象となる技術を独り占めできるわけです。逆に言えば、特許権を取得した技術は、
他者に邪魔されずに使用でき、製品の出荷や販売が他者に差し止められるリスクを抑えることができます。新技術を
使った製品を独占して販売できれば、新技術の開発費用を回収でき、次の開発に資金を費やせるようになります。し
かし、特許法がなければ、新技術はマネし放題ですから、開発費用は回収できず、開発意欲はなくなってしまいます。
例えば、スマートフォンには10万件を超す特許権が含まれているといわれています。私たちの便利な生活はたくさ
んの技術が支えているのです。
 また、特許に関する技術情報は公表されます。これは、新技術を秘匿するのではなく、その情報を利用することで
さらに新しい技術の発明を促そうという意図があります。特許権を保護し利用するということは、さらに新技術の開
発を促し、その産業を発達させて世の中を豊かにすることに繋がるのです。
 商標権や特許権、著作権をはじめとする知的財産権は、無体財産権ともいわれ、目に見えない無体物を土地や建物
のような有体物のように専有する権利のことをいいます。弁理士は、目に見えない知的財産を適切に捉え正しい形で
保護・権利化します。そして、権利化後には正しく運用し、適切な管理を行っています。
 そんな知的財産の専門家である『弁理士』は、企業を支え、市場経済の安定を担い、消費者の利益を守る縁の下の
力持ちのような存在です。そんな『弁理士』について少しでも興味をもっていただければと思います。

                                  フレッシュ委員会 弁理士 安井 義博
                                           弁理士 北浜壮太郎
                                           弁理士 松井 裕高
                                           弁理士 加藤 大輝
                                           弁理士 寺本 諭史
                                           弁理士 稲山 朋宏

(図1)平井祐喜による「膏薬丸薬」についての商標 (図1)平井祐喜による「膏薬丸薬」についての商標