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商標調査はなぜ必要?~弁理士の活用のすゝめ~

新聞掲載記事

     「181,072」

     何の数字でしょうか。こちらは、日本国内で2020年の一年間に出願された商標の数(商標登録出願件数)です。

     商標権は独占排他的な効力を持ちます。また、その効力は登録商標やその指定商品・指定役務の類似範囲にまで及びます。そして、その保護対象は、文字や図形、記号のみならず、立体的形状、音、色彩、動き、ホログラムや位置と様々です。近年、これらのブランド要素としての利用実態や国際的な趨勢から、保護対象は拡大傾向にあります。商標法の前身となる商標条例が明治17年に施行されて以降、登録が成立し、現在も権利が維持されている商標の累計登録件数は約200万件、未登録の係属出願を含めると約220万件です(2021年8月現在、情報提供元:インフォソナー株式会社)。トリビア的な情報ですが、現存する最も古くからの登録商標をご紹介します。

     では、なぜこんなに沢山の商標が出願・登録されているのでしょうか。個人的に最近よく使う言い回しをすると、商標登録制度は、商取引において提供者や消費者に「信用・安心」の下商品・サービス(以下、商品等といいます)を提供・選択頂くために利用すべき制度です。則ち、商標法の存在意義の一つとして、「商品等の流通秩序の維持」を挙げることができます。登録商標の独占使用を認めることで、他人が同種商品等について登録商標と同一・類似の商標を使用できないようにして、市場での商品等の出所混合の発生を防止しているわけです。

     より詳細に言えば、商品等の提供者側からすると、適正な内容で商標登録を得ることができれば、自身の使用する商標と同一・類似の先行第三者商標の登録は(その指定商品・指定役務と同一・類似の範囲内においては)存在しないと言えるため、他人の商標権を侵害するリスクを低減できます。この結果、安心して商標を継続使用できます。換言すれば、商標登録は、お客様に「自己の商標(商品・サービス名)ですよ」とお伝えし、これを手掛かりに安心して自己の商品等を選んで頂くための信用を具現化した法的根拠になります。また、他人の依頼を受けて商標を制作し提供するデザイナーの方等からしても、安心して自己の制作物を提供し顧客にて使用頂くための法的根拠となります。消費者側からしても、未登録の商標と比較をすると、登録商標を手掛かりに自身が希望する商品を選択すれば、意図した商品を安心して手に入れることができるでしょう。単に商標の登録を行うのではなく、このような理解の下、適正な内容で適時に商標権を取得できれば、皆さまのビジネスの中で使用される顧客とのインターフェイスとも言える商標に一層の価値を見出すことができるのではないでしょうか。

     では次に、適正な内容で商標権を取得するためにはどうすればよいでしょうか。これについては、やはりできるだけ早期に我々弁理士にご照会や商標調査のご依頼を頂くことが最も近道です。「早期」と言う理由は、商標の使用者からすると、一旦採用した商標を後から変更することは、工数的にも精神的にも抵抗が大きいためです。しかし、弁理士の立場からすると、そもそも商標権侵害のリスクがある、使用はできるが独占はできない、ブランド要素として適正か、将来の発生コストは、海外展開を考慮すると・・・など、商標法の実務の観点からお伝えできることも多々あるところ、実際にはそのような検討・確認や事前の商標調査が行われることの方が少ないと感じます。

    弁理士は、明治時代に特許や商標制度が創設されて以来、これらの制度とともに歩んできた知的財産の専門家です(弁理士法第1条)。新規商標の採択をお考えになる際には、その採択決定前の段階より、是非弁理士にお問い合わせ下さい。

                                                                 弁理士 前田 大輔

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