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最近の統計から見た意匠・商標

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 まず、意匠出願件数から見ていきましょう。図1に示すように、東海地方の各県における意匠出願件数は概ね横ばいとなっており、図2に示すように、日本国籍による意匠出願件数も概ね横ばいとなっています。ところが、図2に示すように、外国籍による意匠出願件数は毎年20%程度の伸びとなっています。

 一方、図3に示すように、東海地方の各県における商標出願件数は、毎年10~20%程度の伸びを見せており、同様に、図4に示すように、日本国籍による商標出願件数も、毎年10%以上の伸びとなっています。したがいまして、商標出願件数は全国的に増加傾向にあると言えます。これは、メディアが商標を取り上げる機会が増えたことや、 平成28年5月に特許庁から出された「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ」という注意喚起も影響しているものと推測されます。

 次に、図5は、意匠の出願件数を県民総生産で割った値を示しており、全国を1としています。愛知県及び静岡県は、輸送機器関連の大企業が本社を置いており、このような企業では意匠出願は多いものの、ひとつの意匠出願に関連する製造品の出荷額も大きくなる傾向があると推測できます。一方、三重県は化学関連の大企業が本社を置いていますが、化学関連の大企業の意匠出願件数は少ないため、県全体の意匠出願が少なくなる傾向にあると推測できます。また、岐阜県は、意匠出願件数が多くなる傾向がある樹脂成型品を製造する大企業及び中堅企業があり、加えて、中小企業による意匠出願も盛んな地域であるといえます。

 各出願件数を見れば、各法域の出願傾向を見ることができます。一方、各出願件数と他の指標とを組み合わせれば、各県の産業構造等の特色を垣間見ることができます。今回は、意匠出願件数と県民総生産との関連を見ましたが、出願件数と他の指標とを組み合わせれば、各県の産業構造等の特色を別の角度から見ることができそうです。

弁理士 加藤 肇


図1 

図2 

図3
図4
図5
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