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経費削減を迫られ特許公報チェック

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 昔、講演会で名刺交換をした会社の役員から相談を受けた。会社に行くと特許公報と製品を見せられ、「この製品がこの特許権に抵触するだろうか。」との相談である。「私は弁護士が本業なので断定はできないが、特許請求の範囲の記載の一部は明らかに違うので、これは文言上侵害には当たらないでしょう。」と答えると、「実はこの 製品についてこれまで何年も結構な金額のロイヤリティを払ってきたのです。」という。侵害だと言われ、専門家に調査を依頼することなく金を払ってきたようである。推察するに、これまでは儲かっていたため特にチェックもしなかったが、経費削減の必要から見直してみて、初めて疑問を抱いたようである。

 特許公報を見て疑問を抱く程度の知識のある役員であり、特許出願の経験もある会社であったとは思うが、弁理士は出願に際してのみ相談するものと思い込んでいたようである。しかし、この手の相談は本来弁理士マターである。弁理士も客商売なのだから遠慮無く使えば良いのに、と思った。一昔前は弁護士は敷居の高い存在だと言われていたが、敷居が高いのは弁護士だけではなかったようである。

弁護士・弁理士 後藤 昌弘

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