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日本弁理士会東海支部長 井上佳知氏に聞く

  • 弁理士会

 日本弁理士会東海支部の2018年度支部長に、井上佳知氏(51)が就任した。
 東海支部は愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県を管轄エリアとして、弁理士約880人の会員を持つ。製造業の集積地でもある東海は知的財産への関心も高い地域で、東海支部の先進的な活動は全国でも注目されている。「組織の活動を一部見直し、整理していきたい」と話す井上支部長に、本年度の活動方針などを聞いた。

-就任の抱負から。
 東海支部は本年度、22周年を迎える。ちょうど10周年の時に副支部長を経験したことがあった。昨年度は筆頭副支部長として本年度の活動に向けた素地固めも行った。新しいことにどんどん取り組むというよりは、組織の内部を見つめ直し、活動を整理していきたいと考えている。

-具体的には。
 中小企業経営者と弁理士が知財問題についてフリートークする「知財経営サロン」をはじめ、一般の方を対象に知的財産権制度の周知・啓蒙を図る市民講座「休日パテントセミナー」、小・中学校から高校、大学で行う出前講座「教育機関支援機構」など日本弁理士会に先駆けて東海支部が独自に始めた事業が複数ある。講師を担うなどで会員の弁理士の負担が増しているため、開催する回数を見直したり、時間を短くしたりするなど、ニーズを見極めたうえで内容を改善していく。

-中小企業支援の役割も求められている。
 中小企業支援においては、金融機関や他の士業など関係各所との連携を強化する。中小企業支援は知財からのアプローチだけでは難しく、事業戦略など経営面からのアプローチと組み合わせていく必要がある。昨年度、東海支部の「知財支援委員会」と中小企業診断士が試験的にタイアップするなどの取り組みを行った。金融機関からのお声がけもいただいており、共同事業をいくつか立ち上げていく方向だ。東海地区信用金庫協会などが主催する展示会「ビジネスフロア」にも初めて出展する予定。金融機関の集客力にも期待を寄せている。
 また、訪問型の事業に力を入れる。「知財経営サロン」では相談者を受け入れる側となるが、受け身だけでなく業界団体の会合に顔を出すなど積極的に外へ活動を広めていきたい。金融機関と中小企業診断士、弁理士の3者で中小企業を訪問するなど、柔軟性を高めて対応していく。支部だからこそできる、地域密着の事業を展開していきたい。

-その他の新事業は。
 管轄エリアの5県はそれぞれ県ごとに活動しているため、従来は県同士の交流がほとんどなかった。交流の機会創出を目的に本年度から、県委員会サミットを開催する。各県の県委員会メンバーが集まり、情報交換や懇親を通じて相互に理解を深めてもらう。
 弁理士の日を記念してこれまでショッピングセンターで開催していたイベントを、本年度は名古屋市中区栄のオアシス21で開催する計画だ。昨年に引き続きアイドルグループにも参加してもらい、一般の方にもわかりやすく知財をご紹介する。

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