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早く権利化するには?~商標の早期審査~/弁理士 岡田 伸一郎

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 商標登録出願を行ってから最初の審査結果が届くまでにはそれなりの時間(3~9か月)がかかります。一方で、商標を権利化した上で商売を行いたい場合や、第三者が無断で商標を使用している場合など、早期に権利化したい場合も多くあると思います。そんなときに使いたいのが商標早期審査制度。早期審査を申請すると、最初の審査結果が届くまでの期間を約2か月に短縮できます。
 ここでは、その商標早期審査制度についてご紹介します。なお、紙面の都合上、説明を割愛したところもありますので、詳細についてはお近くの弁理士にお尋ねください。

<早期審査の対象>
 早期審査の対象となるには、前提として出願人又はライセンシーが出願商標を使用していなければなりません(使用の準備を相当程度進めている場合を含む)。そのうえで、次の対象1~3のいずれかに該当する必要があります。
対象1:出願商標を指定商品・指定役務の一部に使用していて、かつ、権利化について緊急性を要する(例えば、第三者が無断で使用している、外国にも出願中である等)案件。
対象2:出願商標を指定商品・指定役務の全てに使用している案件。
対象3:出願商標を指定商品・指定役務の一部に使用していて、「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務"のみ"を指定している案件。

<早期審査の申請方法>
 この申請は、対象1~3に該当する事情を説明するための「早期審査に関する事情説明書」を提出することで行います。特許庁への手数料はいりません。ただし、手続きを弁理士に依頼した場合は、弁理士費用がかかります。

<ファストトラック審査>
 出願人又はライセンシーが出願商標を使用していない場合は、早期審査の対象となりません。ただし、この場合でも、最初の審査結果が届くまでの期間を短縮できるファストトラック審査制度があります。この制度は、「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務"のみ"を指定して出願することで、通常の出願よりも数か月早く最初の審査結果が届きます。早期審査よりは期間を短縮できないものの、早期審査と異なり追加の手続きも不要です。

<早期審査等を利用するには>
 早期審査やファストトラック審査を利用するためには、指定する商品・役務を出願時に慎重に検討しておく必要があります。特に、対象3に基づく早期審査やファストトラック審査は、全ての指定商品・指定役務を「類似商品・役務審査基準」等に掲載されている商品・役務に限定しなければなりません。早期権利化を希望される場合は、出願時から弁理士と十分に相談されるとよいでしょう。

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