新聞掲載記事

水不足や温暖化解決に期待/弁理士 樫下 幸志

  • 時事

 2025年10月8日夕刻、朗報が舞い込んだ。ノーベル化学賞、恩師北川進先生に決定というビッグニュース!先生は、MOFと呼ばれる多孔性材料の研究を先駆的に進め、世界の科学界に大きな衝撃を与えてきました。MOFは、分子レベルで精密に構造を制御し、分離、貯蔵、触媒など様々な機能を示す材料になります。私も大学院生時代に北川先生のもとでMOFの研究をしており、その研究成果をまとめ北川先生と共同発明者として特許出願をしたことがあります。

 先生は、MOFに関する特許出願を約200件しており、研究成果を社会に還元するため、論文発表にとどめることなく、特許を通じて技術を公開し、イノベーションの加速を促してきました。この姿勢により、量産化が難しいと言われていたMOFは、まだ一部の分野に限られますが実用化されており、現代社会が抱える水不足、温暖化、エネルギー問題など多くの問題を解決すると期待されています。

 今回の受賞決定は、卓越した基礎研究成果のみならず、新しい価値を社会に還元し実用化を促進する姿勢も評価された結果だと思います。

 北川先生、この度の快挙に心よりお祝い申し上げます。

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