メディア掲載情報

口述試験と実務 /弁理士 高橋 俊一

新聞掲載記事
  • 時事

 10月には、弁理士試験の最終試験として、口述試験が行われます。

 口述試験は、その名のとおり、口頭での問答形式の試験です。特徴的なのは、各問で最終的に正答に辿り着ければ途中で間違えても致命傷にならない点や、ある程度の内容を答えると助け舟を出して貰えることがある点です(少なくとも筆者の受験当時)。そのため、私は「黙って考え込まず何か発言する方が得な試験」と捉えて試験に臨んでいました。

 そんな少し風変わりな(?)口述試験は、特許事務所での実務にも、ちゃんと通ずるものがように感じます。例えば、特に近年、「アイデア相談会」という形式で、特許事務所が出願アイデアの発掘フェーズに関与させていただける機会が増えています。アイデア相談会では、落とし所の設定や、乱立したアイデア同士の結合・分離などをテキパキと行っていく必要があります。このとき、考えが纏まりきっていなくても黙り込まず積極的に発言することで、自然に論点が整理され、比較的スムーズに解決の糸口が見えてくる・・・あれ、何だか口述試験に似ていますよね。

 なお、実務でも試験でも、勿論「最適解を瞬時に回答できる」ことがベストです。回答自体の正確性や信頼性を高めるという観点からも、我々弁理士、そして、未来の弁理士たちは、日々研鑽に励んでいます。

ページトップへ