• HOME
  • メディア掲載情報
  • 知財紛争の解決手段について~日本知的財産仲裁センターの紹介~/日本知的財産仲裁センター名古屋支部 弁理士 井川 浩文
メディア掲載情報

知財紛争の解決手段について~日本知的財産仲裁センターの紹介~/日本知的財産仲裁センター名古屋支部 弁理士 井川 浩文

新聞掲載記事
  • 契約/紛争

 特許や商標に代表される知的財産を「知財」と呼び、これらに関する財産権の侵害などの争いを「知財紛争」と呼ばれています。権利侵害などの紛争解決の手法として、最初に頭に浮かぶのは「訴訟手続」ではないでしょうか。しかし、それと同時に、訴訟費用や解決までの時間、書面作成や証拠収集の手間、さらには、第一審で終了することなく、控訴審・上告審なども考えると、とても気軽に足を踏み入れることはできないと考えることもあるのではないでしょうか。また仮に、当事者間で裁判外の交渉ができるとしても、交渉が決裂することは稀なことではなく、「訴訟」を避けたいがため、自らの主張を大きく譲歩するということもあるのではないでしょうか。

 ところが、訴訟によらずに紛争解決の手段があることをご存じでしょうか。日本知的財産仲裁センターを利用するという方法です。そこで、この日本知的財産仲裁センターにおける手続のうち、「調停」および「仲裁」をご紹介いたします。

○調停

 調停は、中立な立場の調停人が、当事者の間に入って和解の成立に向けて協力する制度です。当事者は、調停人の意見を参考に、双方が歩み寄って紛争を解決するように努力することになります。

 取り扱われる紛争の種類としては、特許や商標権のほか、著作権、不正競争防止法関連の紛争など、知的財産権に関係するものであれば対象となります。

 調停人は、日本知的財産仲裁センターの調停人候補者名簿から原則として2名が選任されます。調停人は、弁護士または弁理士が専門家として意見を述べますが、当事者はその意見に拘束されることはなく、あくまでも当事者の意思で歩み寄ることになります。

 基本的には、相手方の応諾が必要となりますので、調停を申し立てたとしても、相手方が応諾しなければ調停は終了します。相手方が応諾すれば、数回の期日を経て和解の成立を目指します。和解が成立したときは和解契約書を作成して終了します。ただし、和解の成立の見込みがない場合は、和解せずに終了となります。

○仲裁

 仲裁は、中立な立場の仲裁人が仲裁判断を行うことにより、紛争を解決する制度です。仲裁判断は、確定判決と同じ効力を有するものです。その判断を仲裁人に委ねることから、調停のような当事者の歩み寄りによる解決手段とは根本的に異なります。

 仲裁の場合も調停と同様に、当事者双方が仲裁の判断に従うことの合意が必要です。ただし、調停のように申立後に相手方の応諾を求めるのではなく、予め合意されていることを前提とします。そのため、例えば、紛争の初期に合意して仲裁を申し立てる場合のほか、調停で和解できそうにないときに、仲裁に委ねることを合意し、その後調停を終了して仲裁に移行する場合などがあります。そのほか、当事者間に仲裁合意のある契約が締結されている場合には、契約条項に従って最初から仲裁を受ける場合もあります。

 取り扱うことができる紛争の種類は調停と同様であり、仲裁人の選任については、やはり日本知的財産仲裁センターの仲裁人名簿から選任されます。ただし、仲裁の場合の仲裁人の選任は、3名であり、弁護士および弁理士の双方から1名以上が選任されます。

 通常は、1~3回の仲裁期日が指定され、当事者双方からの主張に基づいて仲裁判断がなされますが、必要に応じて、準備期日が設けられ、主張の整理や証拠書類の提出などの準備が行われる場合があります。

○まとめ

 知的財産に関する紛争となると、裁判上の解決を連想することが多いと思いますが、当事者が合意できるようであれば、上記のような調停や仲裁によって解決する方法も選択肢に加えてもよろしいのではないでしょうか。なお、ここで紹介した手続は、訴訟と異なり、全て非公開ですので、当事者以外の関係者などに知られることはありません。

 

       <調停手続の流れ>                             <仲裁手続の流れ> 

調停の処理フロー
仲裁の手続


(日本知的財産仲裁センターHP(https://www.ip-adr.gr.jp)より)

ページトップへ