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知的財産に関する専門家としての弁理士~知財周辺法委員会の活動紹介~

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 「弁理士」といえば、発明、意匠(デザイン)、商標(ブランド名やロゴ)を保護したいと考えたときに相談する専門家というイメージが強いかもしれませんが、それ以外にも様々なご相談をお受けしています。弁理士の専門性について日本弁理士会東海会の活動を通じて紹介させていただきます。

 まず、知的財産には、上記以外にも、例えば、著作物、営業秘密、ノウハウ、植物の新品種、地理的表示など多種多様なものがあるため、我々弁理士は、これらの保護についての相談をお受けすることもあれば、相談内容を伺った結果、当初相談者が想定していたものとは異なる種類の知的財産としての保護を提案してお手伝いすることもあります。

 知的財産にはそれぞれの保護を図るための法律が整備されているため、どのように保護するか(権利の付与・特定行為の規制など)、その保護のためにどのような手続きが必要か、といった事項はもちろん、どの知的財産として保護を図るべきかといった事項を法律的な側面からも検討することが重要です。日本弁理士会では我々弁理士を“知的財産に関する専門家”と定義づけ、多種多様な知的財産に関する法律的な知識をベースに知的財産の適切な保護をお手伝いするという弁理士の専門性を表現しています。

 このような弁理士の専門性を高めることを通じて地域社会の事業発展に貢献することを目的として、日本弁理士会東海会では、いくつかの委員会を設置して活動しています。その一つに知財周辺法委員会があります。知財周辺法委員会では、弁理士としてイメージの強い発明、意匠、商標といった知的財産以外の知的財産に着目し、それら知的財産に関する法律を「知財周辺法」と規定して法律的な側面からの検討を進めています。

 これまでの活動としては、例えば、著作物、回路配置、植物の新品種、地理的表示などの知的財産を取り上げ、これらに応じた法律である著作権法、半導体集積回路の回路配置に関する法律、種苗法、特定農林水産物等の名称の保護に関する法律などについて、どのように知的財産が保護されるか、その保護のために行う手続き、手続きに際しての作業負荷、当該法律に基づく保護の実績(件数の推移)などを調査し、それぞれを体系的に整理しました。その成果は東海会地域内(愛知・岐阜・三重・静岡・長野)の弁理士に情報共有しています。一部の知的財産に関しては、関係団体へのインタビューも実施することでより実践的な知見も得られました。

 また、著作物はデザインの模倣など著作権侵害という形でトラブルになることが多く、多くの判例が蓄積されている知的財産であり、トラブルを防止しつつ適切に著作物を保護するのに必要な知見を得るためには判例の研究が有効です。知財周辺法委員会では、年度ごとに設定した特定のテーマに沿って判例を研究し、その研究成果を東海会地域内の弁理士向けに研修形式で報告しています。この報告に際しては、判例の論点を整理した判例事例集も作成して共有しています。

 日本弁理士会東海会では、このような委員会の活動を通じて我々弁理士の“知的財産に関する専門家”としての専門性の向上に努めておりますので、発明、意匠、商標に限らず、それ以外の知的財産についての保護をお考えの際にも、まずは身近な弁理士にご相談ください。

知財周辺法委員会 弁理士 久納 誠司



表】知的財産に応じた法律および保護方法

 

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