新聞掲載記事

特許紛争物語~おにぎりパック事件第2話「商品の設計変更に注意!」~

     発明者・近藤パリ子は、中央にミシン目があるフィルムを裂いて片側のフィルムを剥がすことにより、おにぎりに海苔を巻けるおにぎりパックを発明し、その特許出願を弁理士・土方トシオに依頼した。その後、パリ子はおにぎりパックの特許権(参考図A参照)をめでたく取得した。そんな矢先、パリ子は、おにぎりパックの類似商品を製造販売する芹沢ノリオを見つけ、ノリオによるおにぎりパックの製造販売が自分の特許権を侵害しているとして、土方とともにノリオに警告した。


    ノリオ「特許侵害とは心外ですな。最近売り上げがどうも悪いと思っていたら、あなたでしたか、類似商品の販売をはじめたのは。迷惑しているのはこっちなんですよ。あなたの商品が市場に出てきたおかげで売り上げが半分に落ちているんだ。」

    パリ子「なんですって!この特許を取るまでにどんな苦労があったか、あなたにわかるものですか!」

    ノリオ「私の商品は、私の特許を使って作っているんですよ。ほら、これが私の特許(参考図B参照)です。私の特許は、フィルムの一辺の中央に切り欠きを設けたことが特徴です。この特許により、フィルムを開封し、切り欠きからフィルムの半分を切り離すと、おにぎりにのりを巻けるんです。私の商品をよく見てください(参考図C参照)。ちゃんと切り欠きがあるのがわかるでしょう。」

    土方「ちょっと変ですね。ノリオさんの商品とノリオさんの特許には、微妙に違いがある。」

    パリ子「えっ?どこがですか。」

    土方「ダイヤ形の孔ですよ。ノリオさんの特許の内容は、切り欠きを設けることですが、ノリオさんの商品には2つのダイヤ形の孔が追加されています。これは、まっすぐに切れるようにして、切った後の見た目を良くするためだったのではないですか?」

    ノリオ「それは設計変更したんです。当初は特許どおりに作っていたのですが、デザインを見直しましてね。切る前の見た目を良くしただけですよ。」

    土方「このダイヤ形の孔を、ミシン目として捉えるかどうかがミソです。ダイヤ形の孔は明らかにまっすぐに切れるように入れたもので、パリ子さんの特許のミシン目と同じようなものでしょう。」


     ノリオの設計変更により、参考図Cの商品が、パリ子の特許請求の範囲の文章の内容(参考図A)を全て含むことになった、と弁理士土方は判断した。このため、パリ子は、特許侵害をやめるようノリオに再度警告することにした。

                                                           教育機関支援機構 弁理士 北 裕介

    参考図A:パリ子の特許/参考図B:ノリオの特許/参考図C:ノリオの商品

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