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意匠出願の手続きとメリット~特許を検討する際には意匠出願の検討も!!~

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 製品等のデザインについて意匠登録を受けるためには、意匠出願をして、特許庁における審査を経て、登録査定を受ける必要があります。また、意匠出願には、特許出願と比べた場合に、独特の出願方法やメリットがあります。


1.意匠出願に必要な書類

 意匠出願には「願書」と「図面」の2つの書類が必要です。

 「願書」には創作者や出願人の氏名、意匠に係る物品等を記載します。意匠に係る物品とは、その意匠が何の製品等について創作されたものなのかを特定するもので、「眼鏡」「まくら」等と記載します。なお、あまり一般的でない製品等の意匠の場合には、「意匠に係る物品の説明」の欄を別途設けて、その製品等の用途や機能を文章で説明します。

 「図面」は、意匠登録を受けようとする意匠の形状、模様等を特定するためのものです。権利の範囲を定める最も重要なものですので、明確に描く必要があります。通常は、線図で作成しますが、写真やCGで作成することもあります。また、作図の方法は、正投影図法(いわゆる六面図)により描かれることが一般的です(下図参照)。


2.意匠の出願方法

(a)全体意匠

 製品全体の形状等に特徴がある場合は全体意匠の出願を検討します。また、製品の「部品」の形状等に特徴がある場合は、「部品」についての全体意匠の出願を検討します。

(b)部分意匠

 製品の「部分」の形状等に特徴がある場合は部分意匠の出願を検討します。独創的で特徴のある創作部分を模倣しながら、意匠全体としては模倣を回避しているような模倣品に対して効果があります。

(c)関連意匠

 1つのデザイン・コンセプトから創作されるバリエーションの意匠群がある場合は関連意匠の出願を検討します。また、モデルチェンジした製品の意匠等、自身の既登録意匠に類似する意匠についても関連意匠の出願を検討します(基礎意匠の出願日から10年以内可能)。

(d)組物の意匠

 ディナーセット等にように複数の構成物品からなり、全体として統一があるものについては、組物の意匠出願を検討します。

(e)内装の意匠

 店舗、事務所その他の施設の内装(内部の設備及び装飾)を構成する物品、建築物又は画像に係る意匠であって、内装全体として統一的な美感があると思われるものについては、内装の意匠出願を検討します。

(f)秘密意匠

 公開予定時期が数年先である場合や、未定の場合には、秘密意匠の要否について検討します。秘密意匠にすると、意匠権の設定登録の日から一定期間その意匠登録の内容を秘密にすることができます。


3.意匠出願のメリット

 出願時のメリットとして、出願の印紙代16,000円のみで審査請求の手数料を納付することなく審査が受けられることや、平均審査期間が2019年度で6.0カ月(特許庁特許行政年次報告書より)であり早期権利化が期待できることが挙げられます。

 また、権利化後は、意匠権は登録意匠と同一の意匠だけでなく、類似する意匠にまで効力が及びます。更に、意匠権の存続期間は、意匠出願の日から25年まで維持可能であり、長期間にわたり意匠の保護が可能です。

 侵害対応については、意匠は見た目で判断ができるため、税関等での侵害判断がしやすい等、模倣品の排除が特許に比べて容易であるといえます。

 特許出願を検討する際には、発明の実施予定品の形状等に意匠的特徴があるかも検討し、特許権と意匠権とによる重畳的な保護の検討をお勧めします。仮に、進歩性等の観点から特許の可能性が低いと考えられる発明であっても、実施予定品の形状等に特徴が見られる場合には、意匠権を取得できる場合があります。

 また、ある新しい形状の発明をしてそれが技術的に効果があるものと考えて特許出願をしたところ拒絶されたため、その形状の美的な面について権利化しようとする場合には、特許出願から意匠出願への変更が可能な場合があります。詳しくは専門家にご相談下さい。

弁理士 伊藤 孝太郎



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