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インド派遣報告「企業取材で探る課題と知財」/国際知財委員会 弁理士 瀧川 彰人

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 著しい経済成長を続ける巨大市場・インドには、東海地域をはじめ、日本国内から多くの企業が進出を果たしています。しかし、法制度や商習慣、文化の違いから、現地でのビジネス展開には特有の困難も伴います。そこで日本弁理士会東海会は、実際に日本からインド市場に進出した企業がどのようなことで苦労し、どのような工夫で成功したのかを調査すべく、今年1月にインドへの弁理士派遣を実施しました。

〇2つの拠点を訪ねて
 今回の派遣では、デリーの南西に位置する「グルガオン」と「ニムラナ工業団地」の企業を訪問しました。
 グルガオンは、近年急速な発展を遂げた近代的都市です。立ち並ぶ高層ビル群には多くの外資系企業がインド本社を構えています。一方、ニムラナ工業団地では、広大な敷地の一画が日本企業専用ゾーンとして提供されており、数多くの日系企業が肩を並べて操業しています。
 ちなみに、現地の交通事情は、渋滞、アグレッシブな運転、鳴り止まないクラクションなど、日本とは大きく異なります。現地での車移動は、現地の交通事情を知っている現地人ドライバーに依頼することが無難であると感じました。

〇悩みは「人材の定着と育成」
 現地インタビューの「苦労話」として、複数の企業で耳にしたのが、人材の定着と育成に関する課題についてです。
 インドの労働市場では、従業員がより良い待遇やキャリアアップを目指して、短期間で転職を繰り返す「ジョブホッピング」が一般的です。そのため、技術の継承や中堅社員の育成が大きな課題となっています。インタビューでは、このような人事面での課題に対して、「従業員を目に見える形で評価すること」や「現地責任者が従業員一人一人と誠実に対話すること」が、社員の定着率向上に一定の効果があったとのお話も聞きました。

〇成功の鍵を握る「早めの商標登録」
 さて、インド市場で成功を収めるための重要な方策の1つとして、弁理士として強調したいのが、現地における「商標権の取得」です。
 自社ブランドや商品名に関して、インドへの本格的な進出前などの早い段階で商標権を取得しておくことは、極めて重要なリスクヘッジとなります。確たる法的権利を予め保有していれば、万が一、現地で模倣品などの被害に遭った際にも、毅然とした態度で権利行使をすることができます。
 また、インドの商標制度には「インドで先に商標を使用していること(先使用)」が有利に働くという側面もあります。トラブルを未然に防ぐためにも、現地での本格的な使用や事業展開が始まる前の、一歩早めの商標登録が好ましいといえます。

〇経営課題に寄り添う弁理士を目指して
 今回の貴重な経験を通じ、企業の海外進出支援を行う弁理士は、知的財産という専門分野だけでなく、現地の人事や労務、様々な経営課題への対応を含めた「包括的な情報」を提供していく必要があると強く感じました。
 今回の派遣の成果は、今年2月に実施したインド知財セミナーで発表しました。今後も、日本弁理士会東海会は、海外展開を志す企業の皆様に、有益な情報を発信できるよう尽力してまいります。海外進出を含め、知的財産に関することでお困りの際は、ぜひ弁理士にご相談ください。
 最後に、今回の派遣にあたり、お忙しい中インタビューを快諾してくださった各企業の皆様、現地法律事務所の皆様、そして派遣全体を通してサポートしていただいたジェトロ・ニューデリー事務所の皆様に、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

グルガオン、午前の一風景

 

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