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AIのリスクは、人が決め、人が確かめる/知財周辺法委員会 弁護士・弁理士 北上拓哉

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  • 著作権

生成AIの発展で、誰もが質の高い画像を手軽に作れるようになりました。社員から「チラシの画像、生成AIで作りました。動画のナレーションもAIの声にします」と言われたとき、無制限に許可してよいのでしょうか。2026年9月時点で解説します。

AI画像は著作権法で守られにくい

著作物(著作権で守られる作品)とは、思想または感情を創作的に表現したものです。AI画像が著作物となるのは、人がAIを道具として使い、表現内容を具体的に決めたといえる場合です。

指示がアイデアにとどまり、候補から選んだだけの画像は、著作物と認められにくいといえます。手軽に作った画像ほど、その傾向は強まります。著作物に当たらなければ、他社に無断で使われても、著作権に基づいて使用を止めることができません。

侵害は「似ているか」を見る

他方、自社のAI画像が他人の著作権を侵害するかは、別の問題です。既存の作品の表現上の本質的な特徴を感じ取れるほど似ていれば、著作権侵害となる可能性があります。作風が似ているだけでは侵害になりません。生成AIは既存の作品を学習しているため、知らないうちに他人の作品に似た画像ができることがあります。

侵害となれば、過失がなくても差止めや使用料相当額の返還を求められ得ます。損害賠償責任を負うのは故意または過失がある場合に限られますが、裁判例は、出版社や販売会社などが権利の確認を怠った場合に過失を認めています。AI画像でも、確認を怠れば「知らなかった」では済まない可能性があります。

声は「ただ乗り」を見る

ピンク・レディー事件で最高裁は2012年、氏名や肖像などが持つ顧客吸引力(集客力)を排他的に利用する権利を「パブリシティ権」として認めました。グッズや広告など、もっぱら顧客吸引力の利用を目的とする使用が違法となります。同事件では、週刊誌の写真掲載は記事の補足にすぎないとして侵害が否定されました。

生成AIによる無断利用の深刻化が指摘される中、法務省の検討会は今年8月7日公表の指針で、声もパブリシティ権の対象と明記しました。指針に法的拘束力はありませんが、経済産業省の審議会も9月に関係者から意見を聴き、不正競争防止法の改正の要否を検討しています。

今はAIで他人に似た声を容易に作れます。似せるつもりがなくても、集客力のある人の声だと受け取られる音声を広告に使えば、パブリシティ権侵害となる可能性があります。

法の目は「人」に向く

私は、少なくとも画像と声では「AIが関わっても、法が最後に見るのは『人』」という視点がはっきりしてきたと考えます。AI画像が著作物として保護されるかは、人が表現を具体的に決めたかで決まります。損害賠償責任まで負うかは、似た作品がないか確認するなど、使う人が注意義務を果たしたかどうか次第です。AIの声を使って責任を問われるのも、集客力のある人の声に似た声を広告などに使ったときです。

注意すべき点は2点です。1つ目は、他人の作品や声に似せないことです。指示に作品名や他人の画像、有名人の名前を入れず、公開前に似た作品がないか画像検索で確認してください。物まねは通常侵害に当たらないとされますが、本人そっくりのAIの声は本人と誤解されるおそれが高いと予想されます。広告に使う声は複数人で聞き、集客力のある人の声に似ていれば使用を控えてください。

2つ目は、作成過程を記録することです。長く使うロゴや商品画像は、指示文や途中の画像を日付付きで保存してください。著作物性や、侵害を疑われたときの説明に役立ちます。

冒頭の社員には「誰かに似せず、作った経緯は残して」と声をかけてください


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